第28話〜番外編・ある聖夜の物語〜 ページ31
〜約70年前、ギルド氷柱の王冠〜
聖夜クリスマス。
誰もが心躍らせる、冬の一大イベント。
それは氷柱の王冠のメンバーも例外ではなく、ギルド中央の宴会場ではメンバー限定の
盛大なクリスマスパーティーが行われていた。
ギルドマスターやギルドの女性たちが腕によりをかけて作った料理の数々に、子供たちは
目を輝かせる。
そんな中で、浮かない顔をした子供がひとり。
「・・・どうか、したのか？」
洋酒の入ったグラスを持った女性が、子供に話しかけた。
「具合でも悪いのか？・・・疲れたなら部屋へ戻ってもいいんだぞ。
ギルドの大人たちは、朝まで飲み明かすつもりらしいからな。」
女性は心配そうに子供の顔を覗く。
子供は、少し伸びた銀髪を横に振って返事をした。
「なんでも・・・ありませんの。
ただ、あの子が来ないのが気がかりで・・・」
「あの子・・・グリーディスの事か・・・」
女性は少し考える素振りを見せる。
「誘いには・・・行ったんだな。それでも頑なに拒否、か・・・」
銀髪の子供が、何かを堪えるように俯いた。
「わたくしは・・・あの子ともっとお話がしたいのです。
確かに、あの子には耐えられない程のつらい体験だったと思います・・・
でもわたくしは、あの子に知ってほしいのです・・・」
ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ子供の話を、女性は黙って聞いている。
「自分だけが、不幸なのではないということ・・・
この世界には・・・あの子よりも・・・わたくしよりも・・・不幸に見舞われている
人間たちがいるということを・・・」
「そうか・・・」
グラスを片手に子供の本音を黙って聞いていた女性・・・
氷柱の王冠のマスター・Aは、少し複雑そうな表情を見せた。
「それで・・・おまえのその本心を、グリーディスには伝えたのか？プライディア。」
「う・・・は、恥ずかしくて、うまく言えなくて・・・」
頬を赤らめてもじもじし出すプライディア。
そんな彼女の様子を見て、Aは呆れたようにため息をついた。
「その真っ直ぐな本心と言葉があれば、あいつは・・・グリーディスは変われるかもしれん。
今はまだ、闇から救うことはできないが・・・もしその時が来たならば、彼の心を・・・
彼自身を救えるのは、きっとおまえだ。プライディア。」
「わたくし、が・・・？」
Aの言葉に、ぎゅっと拳を握る。
少女は踵を返し、彼のいる部屋へと駆け出した。
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シロナ(プロフ) - ユノさん» ありがとうございます！コメントを頂くとすごく励みになります・・・更新頑張りますのでよろしくお願いします！ (2014年12月14日 14時) (
レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ(プロフ) - 私も７つの大罪シリーズ好きです!!この小説面白いですよ！更新頑張ってください!! (2014年12月14日 14時) (レス) id: 90244c805f (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - 紫さん» ありがとう！頑張って書くね！！なんかリクエストあったら教えて！ (2014年12月1日 21時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - すっっっごくおもしろかった！！続きが楽しみ！また学校でもいろいろ話そう！ (2014年11月29日 3時) (レス) id: d55e707bcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロナ | 作成日時：2014年11月9日 23時
