フェアリーテイル〜大罪魔法と神魔の子〜

第17話 ページ19

〜in・神の間〜


「・・・」


巨大な魔水晶を虚ろな目で見ている少女。


セミロングの白髪に黒のメッシュを入れた、鋭い目を持つその少女はひとり佇む。


「もうすぐよA・・・もうすぐ、あなたにまた会うことができる・・・」


水色がかった魔水晶の中心で、何かが脈打っている。


それを押さえつけるかのように、魔水晶の両側にある翼が瞬く。


一方は天使のような純白の翼。


もう一方は悪魔のような漆黒の翼。


博識な強欲の化身によると、これは“混沌の結界”と呼ばれる封印法らしい。


神と魔の力で古の支配者を封じるための魔法・・・とでもいうべきか。


「あなたが封じられていた50年の間に、世界は大きく変わってしまった。
　あ・・・でも心配しないで。氷柱の王冠は健在だから。」


今では日課と化した、魔水晶との会話。


実際はこちらが一方的に話しているだけなのだが、白髪の少女にとって、


それはどうでもいいことだった。


なぜならこの声は、封じられている彼女にも届いていると信じているから。


「“罪を抱えし氷の魔力”・・・探し出すのに50年もかかっちゃったけど、
　ようやく見つけることができたの。」


白髪の少女は、巨大な魔水晶に歩み寄り、魔水晶の手前にある大きな石版に触れた。


そこにはなにやら文字列がびっしりと書き込まれており、その中心には埃をかぶった


小さな魔水晶が埋め込まれていた。


「今宵あなたはその者の魔力と姿を借りて、この世界に復活する。
　また皆で一緒に暮らせるのよ・・・A・・・」






憂いを帯びたその瞳は、その少女が悪魔であることを忘れさせるくらい儚く、


そして美しかった。

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