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その翌日の、夜。
「…本当に来たんですね…」
「なんだよ、来ちゃ悪いのかよ」
うらたさんとやまだちゃんは、言った通りにやってきた。
「いえ、昨日のことが夢だったのかと思ってたので」
「何それ」と、少し笑った彼は少し幼く見えて、そんな顔も出来るんだ…と、しばらく見つめてしまった。
夢だったのかも、なんて思っていた割にはお菓子はきちんと用意していた。
まあ、職場に持って行く為に作ったもののついでだから、ね。
「…コレ、昨日はなかった。何?」
不思議そうに透かして見るうらたさんに、教えた。
「キャンディクッキーですよ、綺麗でしょ?」
「へえ…」
彼の翠色の瞳に合わせて、翠色のキャンディを瞳の部分に使って作った猫型のクッキーだった。
物珍しそうに見て、やまだちゃんにも見せて、端っこをちょっとかじって、満更でもない表情をするうらたさんが、可愛く見えた。
ふふ、と笑った私をちらりと見たから、何かお菓子についての話かな、と思って彼を見つめると、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前、聞かねえの」
「…何をですか」
「…俺が何者かとか」
「うーん…まあ、気になりますけど…本人が話したくなったら話してくれればなあ、と思いますし」
「だって、明らかに人間じゃねえじゃん、俺」
まさか、彼の方からそんな話をしてくるとは。
少し考えた後、私も答えた。
「そうですけど…昔も、そういうモノに会った事がある気がして」
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花夜 - ツンデレうらさん可愛いですね!友達から漂って凝る気配って坂田さんですか? (2021年12月24日 22時) (レス) @page16 id: 02079f421c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろ鮎 | 作成日時:2021年11月4日 22時