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四人が楽屋から出て行く頃は、確かにまだ起きていた。
荷物の整理をしながら、ちょっと休憩〜なんて呟いていたことも覚えている。
だが。
俺が飲み物を買おうと一旦席を外し、帰ってきた頃にはこの有様だった。
ソファですうすうと寝息を立てながら、気持ちよさそうに眠る京本。
横のテーブルには、一本の水と散らばった薬たち。
樹辺りが買ってきてくれたのだろう。
そしてどうやら、その作用で睡魔に襲われたらしい。
そこまではいい。
しかし、このままここで寝てしまえば、せっかくの薬の効果も虚しく風邪は悪化するだろう。
一体どうしたらいいんだ。
ここで見捨てるほど、俺だって冷たい男じゃない。
なるべく音を立てないように近付いて、京本の顔を覗き込む。
鬱陶しそうに顔にかかった金髪を払えば、長い睫毛が姿を現した。
ぴく、と僅かにソレが揺れる。
その反応に思わず動きを止めるが、どうやらまだ起きる様子はない。
あまりにも気持ちよさそうに寝るものだから、なんだか起こすのは申し訳ないように感じる。
が、起こさないことにはなにも始まらない。
俺は猫のように丸まった背中を、とんとん、と叩いた。
「…ん…」
「京本、起きろ、京本」
「…んー、」
「おい、おいって」
「……あと…いち、じかん…」
「なげえわ！……あ」
思わずパシ、と強めに叩いてしまった。
その痛みが効いてか否か、京本はゆっくりと瞼を開けて、その綺麗な顔を歪ませる。
「…ほく、と…？」
「ん」
「なにしてんの？」と目をこすりながら起き上がるコイツを見て、なんだか拍子抜け。
風邪を引いていることなんて忘れているかのような態度に、思わず口元が緩んだ。
「もうみんな帰ってる。あとは俺らだけ」
「…あーそうだった、ここまだ楽屋じゃん」
「……寝ぼけ過ぎだろ」
「うるせー」
今度は下唇を突き出して文句を垂れる京本。
そういうのやめろって。
なんて、言える筈もなく。
スッと視線を外す。
一度目を覚ましてしまえば、もう大丈夫だろう。
帰り支度をさっさと始める俺の背中に、声がかかった。
「…北斗、もう帰るの？」
「………は？」
.
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白梅(プロフ) - なぺこさん» なぺこさんコメントありがとうございます！嬉しい言葉がたくさん、、！不定期更新ですが、ぜひこれからも応援よろしくお願いします！ (2019年6月3日 16時) (
レス) id: ff41a5aa52 (このIDを非表示/違反報告)
なぺこ(プロフ) - とても面白いです！文章から、その時の情景がすごく伝わってきて読みやすいです！！好きです！応援してます！！ (2019年6月2日 22時) (レス) id: 7d886639bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白梅 | 作成日時：2019年5月15日 18時
