俺の名前は師範じゃない。【鬼滅の刃】

拾陸 ページ17

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「落ち着いたか」









鼻をズビズビさせて頷く。師範の着物をお情け程度で整える。









『ごめんなさい』









「謝るな」









『はい』









あぁ、大分しみったれた朝になってしまった









もう止まれ、と思うのにまだ際限なく涙が流れる自分の涙腺に活を入れる。








自分の涙さえ止められなければ、他の人の涙なんて拭えないんだ









『さっ！とろろ昆布作りましょうか』









心配そうな顔をしてくれている師範に明るくそう言う。









「………あぁ」









『今日はお出掛けですからね、ちゃんと腹拵えしなきゃ途中で疲れちゃいます』









無事止まった涙の残りを拭って、台所へ戻る。









昔、よく師範が抱き締めてくれたっけか。









ことある毎に抱き締めてくれた。理由は分からなかったけれど。









いつからかなぁ、それが無くなったのは









そうだ、柱になってからかな









久し振りに直に感じた師範の体温は物凄く温かくて。









あぁ、生きてる









大丈夫









そう思えた









そして、何故か分からないけれど、胸の奥がギュッとなるような変な感覚がした気が、する。









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