*98* 好きなのは ページ18
「出て来ちまってよかったのか?」
屯所を出て少しした頃、不意に不知火がオレに問いかけてきた。
『??
あそこに身を寄せたのは不知火の療養のためだけだぜ?』
オレは訳がわからず、そう答えたが、不知火は納得がいかないようで難しそうな顔をしていた。
『なんでそんなこと聞くんだ?』
オレが不知火に問いかけると、不知火はいや……と言葉を濁したあと、
「……原田の野郎と離れてよかったのかよ」
なんて逆に聞き返された。
……つか、なんで左之さんが出てくるんだ?
「……お前、原田と出来てンだろ?」
疑問が顔に出ていたのか、不知火がオレとは顔を合わせずにそう言った。
『は?
なんでそうなるんだよ?』
返された言葉の意味が分からず、オレは聞き返す。
全くわけがわからない。
「〜〜っ、あーもう!
聞いちまったンだよ!
原田の野郎がテメェに告白してるとこを!」
オレが頭の上にはてなマークを量産していると、不知火が怒ったようにそう言った。
……ということは。
『不知火、あの時目を覚ましてたのかよ!?』
「たまたまな!
ンで、出来てンだろ?
原田の野郎と!」
オレが驚いたように聞くと、不知火は何故か怒ったままそう言った。
そうか……。
どうやら不知火は左之さんがオレに告白してるとこだけを見て、オレがフッたとこを見てないから、勝手にオレがOKしたと思い込んでるみたいだ。
『……ちげーよ』
「あ゙ぁ?」
オレはぼそりと答えるが、不知火は聞こえなかったようで聞き返してくる。
『だから違うって!
オレは左之さんと出来てなんかない!!』
勝手に勘違いされて、何故か腹が立ったオレは立ち止まって声を張り上げる。
『オレが好きなのは……!』
そこまで言いかけて、ハッとして言葉を止める。
オレが好きなのは……?
何言おうとしてんだ、オレは……。
恥ずかしくなってうつむく。
「好きなのは……?
誰なンだよ?」
不知火が追及してくる。
『〜〜っ、違う!
オレは好きな奴なんていねーよ!』
【オレが好きなのはお前だよ、不知火!】
勢いで言おうとした言葉は、そんな恥ずかしい言葉で、オレはブンブンと頭を振った。
オレが不知火を好き?
そんなこと……ない。
不知火はオレの使命を手伝ってくれるいい奴。
……それだけだ。
ほら行くぞ、と赤くなった顔を見られないようにオレは不知火の手を引き、宿に向けて歩き出した。
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白黒の舞姫 - すっごく面白かったですこれからも頑張って下さい応援しています。 (2016年9月21日 16時) (レス) id: 906067274c (このIDを非表示/違反報告)
千弘(プロフ) - 壱からすべて見ました!!HAPPYENDになってくれて、子供もできて…本当に私も幸せな気分を味わうことができました。この作品は最高です。どうか、これからもがんばってください。 (2015年12月20日 3時) (レス) id: 5aeac5c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ぜにがめ(プロフ) - LOVEさん» ありがとうございます! そう言ってもらえると嬉しいです((o(*>ω<*)o)) これからもよろしくお願いします((。´・ω・)。´_ _))ペコリ (2015年3月19日 9時) (レス) id: fbdd8674d6 (このIDを非表示/違反報告)
LOVE - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした!ぜにがめさんの文章は読みやすくて、わかりやすかったです♪今後の作品も楽しみにしています! (2015年3月18日 19時) (レス) id: d1fe97b2a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぜにがめ(プロフ) - 闇姫さん» ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) これからもよろしくお願いします((。´・ω・)。´_ _))ペコリ (2015年3月18日 11時) (レス) id: fbdd8674d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぜにがめ | 作成日時:2014年12月13日 1時