ツンデレ王子と白鷲のお姫サマ[白布賢二郎]

31*見たかったのと違う ページ32

白布賢二郎side


｢白布君の事が好きです。
バレーしている時もカッコいいって思ってました。
良かったら付き合って下さい。｣


友達に呼ばれた先では知らない女子が居て、告白をされた。

告白って分かってりゃ来なかった。
なら日焼けを気にしてアホみたいな顔で鏡を見てるAを見ていたかった。


｢悪いけど付き合ってる奴いるから。｣


バツが悪そうに俺を待っていたであろうクラスメイトを蹴れば｢兄貴ごめん｣と謝る。
コイツも俺を呼べって頼まれただけで、別に悪くはない。


｢鷲匠の方が良い?｣

｢Aが好き。｣

｢だよな、鷲匠と居るときの兄貴すげー、かっけぇもん。｣

｢意味わかんねぇよ。｣



教室に戻ればAと雪村、他にもクラスの女子が集まって雑誌を見ているようだった。
溜め息を吐き、席に座れば何故か心配そうな顔で俺を見てくる。


｢兄貴、勝った?｣

｢なんの話？｣

｢喧嘩して来たのかと思った。｣

｢隠すのもなんか違うから言うけど、告白されて来た。断ったから。｣


色めき立つ周りの女子は気にせず。

そんな事か。とでも言いたげな顔でAは俺を見た。
少し拍子抜けしたのは告白されたって聞いて焦った顔か、嫉妬する顔を見れると思ったが本人は至って普通だ。

プリッツを食い続けてるし、俺の口にも近づけるからひとくち食べた。


｢白布告られたの？
顔とバレーしてるとこしか見たこと無い子なんだろうね。｣


寧ろ雪村や周りの女子のほうが興味津々。
部活では差し入れを渡そうとする女は時々居るが、他人から物をもらうのは躊躇うし食い物なら断固拒否だ。



｢うるせーよ。｣

｢Aは全然気にしてないね？
普通彼氏告白されたらイヤじゃない？｣



つい、見過ぎていたのか。
目が合ったAは｢もっと食べる？｣なんてプリッツを差し出してくる。



｢断ったんだよね？
なら別に気にならないかな。｣

｢なんで？私だったら嫌だし、なんなら告白現場に着いていきたいくらい。｣

｢藍ちゃんかわい。
…いちいち告白気にしてたらこっちが疲れるだけだし、慣れたよ。｣

｢？｣


Aと付き合い出してから告白はされたが片手で数えられるくらい。
それで慣れたのか…

当のAも言った言葉に顔を歪めて自分の失言に気付いたのだろう。


｢それは及川で慣れたってこと？｣


思ったよりも低い声が出た。
それに対してビビるから、一度深呼吸をした。


別に今更気にする必要もない。
嫌な気持ちをさせてないなら良い。

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