ツンデレ王子と白鷲のお姫サマ[白布賢二郎]

22*疲れ〈〈 賢ちゃん ページ23

Aside


運動部に所属していると連休は練習を長く出来る日でしかない。
GWだって言うのに校庭を走り飛び…


お昼休憩なのに疲れて動きたくない。

陸上特有のトラック、ゴム素材の微妙な柔らかさと太陽の光が暖かくてゴロンと横になっていた。

あまりに動かないから藍ちゃんに置いていかれ…
疲れのせいか眠くなる…


｢!!｣

｢こんなとこで寝んなよ。｣

｢…びっくりした…
賢ちゃんがいる。｣

｢学食に居ないから雪村に聞いたらバテて動かねぇって言われて来た。飯食わねぇの？｣

｢食べたい気持ちはあるけど、動きたくないのが今は強くて…｣


上から覗き込むように賢ちゃんに見られている。

バレー部は恒例のスパルタ合宿中のはず。

時間の短い昼休みにわざわざ来てくれたのかな。
ならご飯はちゃんと食べてもらわなきゃいけない。

優しい人だから私が動くまで待ってくれるのかも…
体はだる重いけど鞭打って起き上がらないと。



｢この時間に会えると思わなかったから元気でました！｣


ヨイショと立ち上がり、身体をぐーっと上に伸ばした。
白鳥沢は土日でも食堂が開いているのでよく食べに行きます。


｢あ、立ちくらみ…｣


急に立ったからか、ふらりと体が後ろに傾くよりも早く背中に触れた手が支えてくれてる。

太一や周りのバレー部と比べると小柄で細い印象を受けるけど、やっぱり男の子で急な至近距離に胸が跳ねる。


｢大丈夫か？｣

｢ありがと…好き。｣

｢…｣

｢もっと愛情たっぷりな視線をちょーだい！
賢ちゃんが支えてくれるからすっごいドキドキしたのに｣

｢騒ぐ元気があるなら大丈夫だな。
つーかお前もっと食え。｣

｢結構食べてるのにね。
やっぱり胸に栄養行くのかも…」


聞こえた溜め息は無視して、手を引いて一緒に食堂に向かう。

清廉潔白な人だから欲があるのか分からず、太一なら触らせてくらい言う。
それとも魅力が足りんのかね。恥じらいとか…




｢あのさ、明後日なんか予定ある？｣

｢明後日？部活休みで何も無いよ！｣

｢午後開けといて。
部活終わったら連絡するから。｣

｢デートしてくれるの？｣

｢…そうだよ。｣


少し照れて耳赤くしてる…
誘う為にここに来てくれたんだ…

この事実だけで喜べてしまうから私は単純だ。



｢可愛くする！！｣

｢うん｣

｢手ずっと繋いでくれる？｣

｢今も繋いでるけど？｣


笑うと幼くなる横顔と声色の優しさ。
他の人にはあまり見せない姿に私が恋人だって自覚させられる。

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