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《夢野side》
「っ離せ･･･!!」
離せ離せ離せ、そう足掻くけれど
一向に僕の肩から離れない手。
大人の男に僕の力が敵うはずも無く、
異能無効化という阿呆みたいに
厄介な性能を持ち合わせている其の手で
押さえつけられる。
「(僕は、Aと一緒じゃなきゃ、)」
此の儘抗うこともできなければ、
恐らくAは其のまま中原中也と
太宰治の手によって連れて行かれ、
地下には出入り禁止となる。
「いやだ、僕はAと――!!!!」
必死に手を伸ばす。
『久作!!』
中原中也に担がれた彼女も、
僕と同じように手を伸ばす。
繫がることの無い、宙を彷徨う手と手。
其のまま彼女の姿は、見えなくなった。
其れを見届けた後、目の前に居る
太宰治も長外套を翻して僕の前から
去っていく。
「A･･･、A、A――･･･」
膝から崩れ落ち、
何度も何度も、彼女の名前を呼ぶ。
狂ったように。壊れたように。
鉄格子を握る力が強くなる。
久作、と二度と返事は来なかった。
*
《中原side》
『･･･』
泣き疲れて寝息を立て俺のソファで眠るチビ。
目元に残る、赤くなった涙の跡を
撫でた後、自身が着ている長外套を
静かに其の小さい身体に掛けてやる。
チビの寝息だけが聞こえる部屋で、
「･･･今まで以上に、彼奴は危険だ」
太宰が、ぽつりと思いつめたように呟く。
太宰の言う通り、Qは恐ろしく危険だった。
其れは今までもだったが、
今回は恐ろしさの意味合いが違う。
今日久々に対面して目に映ったのは
チビに縋り付くQの姿。
あれは完全に病んでいる。
チビ中心の世界で、彼奴の見る
世界にはチビと自分しかいない。
恋は人を狂わせる、何ていうが
あれはまさに其の言葉の通りのものだった。
ああいう狂ったのは、大抵最後には
"相手を殺して自分も死のう"
などと突拍子も無いことを考え出す。
そうして先程言った、チビが全ての
"チビと自分しかいない世界"が出来ると信じて。
そう彼奴の考えが行き着いて
しまえば、確実にチビに被害が及ぶ。
其れは何があっても許されない。
「･･･Aちゃんは、末恐ろしいね」
「彼奴は魔性だとは･･･常々思う」
「･･･私達が、QからAちゃんを
守らなきゃいけない」
「･･･嗚呼」
ぽつりぽつりと、
うわ言の様に言葉を交わす。
面倒な奴に好かれたもんだ。
はあ。
溜息が一つ、どちらからともなく
零れ落ちた。
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百鬼 レヴェル(プロフ) - この作品とても好きです！陰ながら応援させて頂いております‥‥！ (2016年12月11日 17時) (
レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
あかさたな - 更新頑張ってください！（＾ω＾） (2016年11月27日 16時) (レス) id: c03256ea79 (このIDを非表示/違反報告)
廉 - 私も某バレーアニメに某刀剣擬人化アニメ見てます!! (2016年10月30日 0時) (レス) id: d91f3f562f (このIDを非表示/違反報告)
ももニャン(プロフ) - 更新まってます！ (2016年10月9日 0時) (レス) id: d319533860 (このIDを非表示/違反報告)
瑠樺@深夜営業(プロフ) - 更新全裸待機してます！さすがに全裸は見苦しいですが！頑張ってください！応援してます！ (2016年9月23日 17時) (レス) id: 2e445ac1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩梅なり | 作成日時：2016年5月10日 0時
