潮騒～Sound of Waves～ 2 (ページ12)

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51 間違いページ12

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バイトを始めてあっという間に二週間が過ぎた。

智が言っていた、潤くんが女ったらしだと言ったことを鵜呑みにしたわけじゃないけど。

でもちょっと警戒しながら働いていた私は、時間の経過と共にそれが間違いであることに気付く。

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確かに潤くんは私にとてもフレンドリーに接してくれた。

だけどそれはにのくんのようなスキンシップの多いものではなくて、ある程度の距離というか節度を保っていて、私が安心できるものだった。

多分とても気を遣ってくれていたんだと思う。

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私はというと、エミさんから仕事を教わってはいたものの。

ランチタイムの忙しい時間帯をいざ一人で任されてみると、立て続けに同じメニューをオーダーされた時に、それをお客様に出す順番を間違えてしまって。

先に来てずっと待たされているのに、後から来たお客様のテーブルの方に先に運んでしまって、しばらく経って、あ、と思った時には時すでに遅し。

時間のないお客様に叱られて、エミさんまで謝ってくれて。

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店長に報告して謝っても、チラッと私を一瞥するだけで返事もしてくれなくて心が折れる。

仕事中は特に寡黙な人で、私だけにそういう態度を取ってるわけじゃないことも、悪気はないことも理解はしているんだけど。

メイちゃんが言ってたように、自分が情けなくて思わず涙が出そうになって、私は唇を噛み締めて耐えた。

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私がロッカールームで着替えてカーテンを開けると、珍しくそこで潤くんがコーヒーを飲んでいる。

テーブルの上にはコンビニのロゴが入ったカップが二つ。

そのうちの一つを私の方にすっと滑らせる。

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それはにのくんと二人でカフェオレを飲んだ、あの夜のことを私に思い出させた。

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「Aちゃんカフェオレ好きだったよね？」

「え、私に？…いいの？」

「うん」

「ありがとう」

いつも私の方が少し先に上がるから、ここでこんな風に二人だけでゆっくりと話すのは初めて。

私は座ってカフェオレを一口飲む。

それはほんのりと甘くて、今日の自分の不甲斐なさを溶かしてくれるような優しい味がした。

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「最初からエミさんみたいになんてできるわけないんだからさ、ミスして当たり前なんだって。そのうち慣れるよ…って俺、何の捻りもねぇな。笑」

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ありきたりなことしか言えなくてごめん、と笑って頭を掻く潤くんの言葉にもまた溶かされて、我慢していた涙がポトリと落ちた。