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「はい、Aですが」

『ああ、Aちゃーん?ちょっと病み上がりのところ済まないんだけどねえ、私の部屋に来れるかい?』

「首領のお望みとあらば。」

『うんうん。じゃあよろしくね〜』

プツッ

「治さん!」

「どうしたんだい?」

「ごめんなさい、首領に呼ばれてしまって!」

「嗚呼、それは仕方ないね。急いで行き給え」

「本当にごめんなさい、でも久しぶりにお喋り出来たのは凄く楽しかったです!」

私は異能力を使ってゲートを首領の執務室に繋いで、その場を後にした。


「もう…何なのだろうな、こんなに一人の女性にのめり込む事はなかったのになぁ」


***

私は横浜の洋上に浮かぶ小型の観光船にいた。

「安吾さん、お久しぶりです。」

「Aさん。今日はありがとうございます。」

「こちらこそありがとうございます。安吾さんが3重スパイだと知ったときは吃驚しましたけど」

「その際にはご迷惑をおかけしました。」

「良いんですよ、こちらとしても安吾さんは素晴らしい人材でしたし、こちらの方が迷惑をおかけしました」

「今日はお互いに頑張りましょう。いつ首が飛ぶかわかりませんからね」

「ええ。ほんとに、何かあったときはよろしくお願いしますね?」


特務課との秘密の会合は始まりから終わりまで緊迫した雰囲気が流れ、
いつもならなんとも思わないただの会話の中でも殺気が混じり、気づけば汗がうなじに一筋流れた。

会合後に種田長官に声をかけられた

「あ、せや、Aちゃん」

「なんでしょうか、種田長官?」

「なんかあったら、特務課においでな。Aちゃんならいつでも歓迎するで」

「有り難い言葉、受け取らせていただきます。では、また。」

「またなあ」

種田長官と会えたことによって、私の行きたい所、場所が少しずつではあるが形成されてきた。


「Aちゃん、私の部屋につなげてくれるかい?」


「はい、首領。」



***

「紅茶をお淹れ致しましょうか?」

「頼むよ、それじゃあ饅頭も一緒に…」

その瞬間、膨大な殺気を帯びた治さんが執務室に入ってきた。

「おや太宰君。執務室に君の方から来るとは珍しいなあ。丁度今紅茶を用意しているところだったんだ。Aちゃん、太宰君の分もお願いするよ。」

「首領、私が難のためにここに来たか、ご存知なのでは?」

「勿論だよ太宰君。緊急の要件だね…?」

治さんの要件というのは、ミミックに単身で乗り込んだ織田作之助の救出というものだった。

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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2019年12月31日 23時

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