あなたの隣は【Jun.M】 (ページ35)

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S side

それに、Aは、

松本さんと俺が思わず二人で盛り上がってしまっても、

絶対につまらなそうな顔をしない。

なんか一人で考え事してるのかもしれないけど、

俺らが笑う時にはクスッて小さく笑ってる(気がする)し、

飲み物が無くなればちゃんと聞いてくれるし。

でも、無理やり話に入ってくることは決してない。絶対。

取り分け女子とか、

やたら「次何にします？」って聞く女子とか、

出しゃばってくる子とか、

すげー嫌いなんだけど、

Aは違って。

無理やり取り分けもしない。

自分に話が振られない時は、黙って、聞いてる。

飲み物も、自分のグラスが空いたタイミングで俺らにも聞く。

つまり、なんていうか、

あくまで自分がこの場を楽しんでますよ

っていう雰囲気を自然に醸し出している。

細かいって？？？

自覚ある(笑)

でもさ、この絶妙なバランス、俺には大切なの。

だからこれもきっと、

俺がこいつを好きになった理由の一つ。

仕事の話や俺らの新人の頃の話なんかで盛り上がって

2時間半くらい？経って

トイレに行こうと席を立った時。

やべ、意外と酔い回ってんな。

いきなり立ち上がったからか。

…あっぶね。

「A、ごめん後ろ」

狭くて通れないっていうことにして、

Aの肩に手を置いた。

A「あ、ごめん」

「悪ぃ。」

トイレの扉をバタンと閉めたと同時に、

ため息が出た。

…舞い上がってる、俺。

自分から触れておいて、

Aの肩に置いた手が熱を持っているような

不思議な感覚。

…ハマりすぎだ。

これはもう、完全に。

恋だ。

あいつが…

Aが好きで、

仕方ない。