第四十四話 ページ5
ヒビヤside
振り向くと、そこにはAがいて、
ペットボトルを持っていた。
『大丈夫?』
「…平気。モモ達と行ったんじゃなかったんだ」
一人分、移動するとAがそこに座る。
飲み物を渡されて小さくお礼を言った。
『だってヒビヤ君を一人に出来ないもん。
ひとりぼっちは寂しいよ?』
「それはちょっと大げさじゃない?
別に一人でも何とも__」
『ダメなの!』
声を少し荒げるA。
心なしか泣きそうな顔をしていた。
『私がヒビヤ君をひとりにしたくないの』
「え……」
自分でも驚くような情けない声が聞こえる。
『っ!何言ってるんだろうね、私』
無理矢理笑顔を作るAは
見てて、こっちが苦しかった。
水を飲み干して、ベンチから立ち上がった。
「僕達も回ろうよ」
手を差し出すと、驚いたような目をして、
すぐに目をすうっと細めて微笑んだ。
握り返された手が夏なのにすこしひんやりしている。
『うん』
「Aはどこに行きたいの?」
『…え、ええと、あれ!お化け屋敷!』
ある方面を指差して、そこに向かって走り出す。
手を引っ張られてこっちまで走るハメになった。
********************
『うーん、色々回ったねぇ…』
「ちょっと休憩しようよ…」
遊園地のアトラクションを全て
回ったんじゃないのか、と思うくらい
いっぱい乗った。
流石にそこまで遊んでれば時間は過ぎるもので
空は暗くなっていた。
『えぇ?じゃあ、休憩も兼ねて、最後に
観覧車乗ろう!』
「……まあ、いいけど」
観覧車なら大丈夫だ。
ジェットコースターとかは無理だけど。
『じゃ、行こう!』
この時間帯では人もかなり減っていて、
案外すんなりと乗れた。
二人きりの空間で、特に会話もない。
するとAがとんでもない事を言い出した。
『なんかデートしてるみたいだねー』
その言葉に思わず咽せた。
大丈夫!?と覗きこんでくるAの顔が近い。
「……Aは」
__どうして僕に優しくするの。
Aに記憶が無いとはいえ、
僕はAを裏切った。
それは紛れもない事実。
なのに__
「なんでそんなに……っ」
過去の自己嫌悪と、Aに対する罪悪感。
本当なら僕がAのそばに居ていいはずがない。
だって僕はAを傷つけたんだ。
『ヒビヤ君……』
口を開いたAが少し驚いたような目をする。
するといつの間にか頬が濡れていた。
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エルフィール - 夢主さん……かっこいいです!とっても続きが気になりますっ! (2015年8月27日 21時) (レス) id: dd20ee8f18 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - ヒビヤ天使!天使天使天使天使天使天使((殴グホ! (2015年6月30日 16時) (レス) id: 351622247d (このIDを非表示/違反報告)
くまこ - おいメグミ!!イラスト集のパス変えたりしたのか!? ちょっ…入れないんだが!! おい、このコメ見たらひこメカ関連のとこに一度は顔出せ!! (←見たらこのコメ消していい) (2015年2月19日 8時) (レス) id: 1de8d2a034 (このIDを非表示/違反報告)
ネオン(プロフ) - うっほぉwwwwとりまやばたぁんwwwww((殴 うぐぅっ (2015年1月17日 12時) (レス) id: 962937abfa (このIDを非表示/違反報告)
くまこ - 相変わらずヒビヤが好きなのなw (2015年1月6日 23時) (レス) id: 23c0d5a001 (このIDを非表示/違反報告)
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