第四十二話 ページ3
＿＿ヒトリニシナイデ
『え？』
一瞬、声がしたような気がして、振り返る。
でもそこには誰もいなかった。
「どうかした？」
『う、ううん。なんでもない』
気のせい、だよね。
「あ、そうだ！」
モモちゃんが、突然自分のポケットを
漁り出した。
すると4枚の紙を取り出す。
それは遊園地のチケットだった。
「じゃじゃーん！」
『…遊園地？』
「うん！マネージャーさんがくれたのっ」
『へぇ…期限明日までだけど』
「明日行こうと思って！」
満面の笑みを浮かべるモモちゃん。
「Aちゃん、一緒に行こう？」
『え、いいよ』
そう言うとまた嬉しそうに笑う。
それから、ミサキちゃんとヒビヤ君を
誘って、明日四人で行くことにした。
友達と遊園地なんて初めてだから、
すごく楽しみ。
何、乗ろうかなぁ。
一人でにやけていると、
ミサキちゃんに鼻で笑われた。
「よくそんなんで喜べるわね」
『…ミサキちゃんも一緒だからかな？』
「……は？」
『記憶が無くなる前の私は、
ミサキちゃんと仲良くなかったみたいだから、
今度こそ仲良くなりたいと思って！』
ミサキちゃんの手を握ると
少しだけ頬を赤く染めた。
ツンデレなのかな？
手を離すと、ポケットに違和感を感じて、
手を入れてみた。
それを掴んで引っ張り出すと、
生臭くて、変なストラップが入ってる。
鮭に足が生えてて、顔があるやつ。
『……』
前の私はどんな趣味をしていたんだ。
いや、これが私のと決まった訳では……。
そう頭の中で独り言を言っていると、
モモちゃんが泣きそうな顔をした。
『も、モモちゃん？』
「……ごめんね、ちょっと」
立ち上がって、奥の部屋に消えていく。
ミサキちゃんは罰が悪そうな顔をして、
ヒビヤ君は下唇を噛んで俯いていた。
記憶が無いだけで、皆をこんなに傷つけてる。
＿＿そんな顔しないで。
開いた口からそれが出ることはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エルフィール - 夢主さん……かっこいいです！とっても続きが気になりますっ！ (2015年8月27日 21時) (
レス) id: dd20ee8f18 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - ヒビヤ天使！天使天使天使天使天使天使（（殴グホ！ (2015年6月30日 16時) (レス) id: 351622247d (このIDを非表示/違反報告)
くまこ - おいメグミ！！イラスト集のパス変えたりしたのか！？ ちょっ…入れないんだが！！ おい、このコメ見たらひこメカ関連のとこに一度は顔出せ！！ （←見たらこのコメ消していい） (2015年2月19日 8時) (レス) id: 1de8d2a034 (このIDを非表示/違反報告)
ネオン(プロフ) - うっほぉｗｗｗｗとりまやばたぁんｗｗｗｗｗ（（殴 うぐぅっ (2015年1月17日 12時) (レス) id: 962937abfa (このIDを非表示/違反報告)
くまこ - 相変わらずヒビヤが好きなのなｗ (2015年1月6日 23時) (レス) id: 23c0d5a001 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
