【カゲプロ】おしまいだぜ！【ヒビヤ】

第五十六話 ページ17

頭が少し痛む。

携帯で見た翼の写真が浮かぶ。

それから……ヒビヤ。

そして黒髪のツインテールの女の人と

食べ物をいっぱい抱えた泣きぼくろの人。

頭痛が酷くなってベッドに横になる。

大丈夫、大丈夫。

もう少しで治るから。

ゆっくりと目を閉じた。









頭に流れる映像。

それは「私の人生」。

自分がどんなに罪深くて残酷な人間だったか、

知るのにはこれで充分だった。










＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


ガバッと起き上がる。

「うわっ」

声のした方を見ると、ヒビヤがいた。

本棚にアルバムを戻してる最中だ。

記憶が戻ったこともあってか、

呼び方が「ヒビヤ君」から「ヒビヤ」に

変わっていた。

『あれ…夜？』
「う、うん。21時だよ」

少し顔をほんのり赤く染めるヒビヤ。

何故彼がここにいるのか、気になった。

『なんでヒビヤがここに？』
「えっ！？」

いきなりうろたえる。

頬を少し掻いてから真っ赤な顔で

ぎゅっと服の裾をぎゅっと掴む。

「えっと…Aと一緒に……
いたかったから……」

この子はなんて可愛いんだろう。

思わず抱きしめた。

慌てるヒビヤが愛おしく感じた。

「A！？あ、ああああの」
『……ありがとう、ヒビヤ』

ヒビヤの髪が頬に当たってくすぐったい。

控えめに背中へ腕を回すヒビヤが可愛かった。

一緒にいたいと言ってくれたのが嬉しい。

そのままベッドへ横になる。

なんだか幸せな気分だ。

『今日はこのまま……』
「……うん」

とても心地が良い。

「A…」
『ん？』
「……いや、やっぱりなんでもない」
『変なヒビヤ』

くすりと笑ってまた目を閉じた。

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