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155. ページ21

「俺は」


泣いているかのように、震えた口を開いた柳。


「俺は……千恵が大事だ。
だが、それと同じようにお前のことも大事なのだ」


目を開けた柳と仁王は、お互いに揺れる瞳を重ね合わせる。


「……ほんまに、不器用じゃな」


仁王は少しだけ嬉しそうに、呆れたように笑った。


「お前よりはましだ」


そして柳も笑う。

6年間、ずっと共に戦ってきた仲間だから理解でき、そして理解できない。





「俺と千恵が付き合っても、お前さんは笑ってられるんか?
それで満足か?」

「……」


柳に答えるすべはない。

何故なら、自分でも答えがわからないから。


「俺はこれ以上何も言わん。
言ってもやらん。
俺は優しくないからな」



これが、仁王の仕返しだった。
あくまで柳に選ばせる。

背中を押すつもりはない。

ただ、仁王にとっても柳は千恵と同じように大事だから。
だからこそ怒りが生まれ、それをぶつけに来た。

ただ、それだけ。



「参謀、また明日な」



柳に口を開かせず、笑って仁王は去っていく。





余韻を残して部屋を出た仁王に、柳も同じように笑った。

薄く開かれた瞳には涙が浮かんでいるように見える。








「お前は十分、優しいよ」



風音1つない部屋に、柳の声が柔らかく響いた。





.

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SHINO(プロフ) - スノウさん» スノウ様!いつもコメントありがとうございます。スノウ様のコメントは本当に何度も読み返してはニヤけてしまって、とても力をいただいています。そうですね、私も主人公の気持ちをやっと書けたので嬉しいです。笑 どうか最後までお付き合いください。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます。気をつけている事に気付いてくださって嬉しいです。fifthの表紙もありがとうございました。申請を出したので使わせていただきます!これからどのような展開になるかは秘密ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
スノウ - おつかれさまです!ついに主人公ちゃんから好き、という素直な気持ちが聞けて嬉しいのと同時に、これから彼女がどのように生きていくのか、不安なような楽しみなような。続編待ってます(^^*) (2017年4月18日 23時) (レス) id: 9bbfe87ee5 (このIDを非表示/違反報告)
- お疲れ様です。続編も楽しみにしています。SHINOさんの花火を空が泣くと表現するところや、情景は目に浮かぶのに感情は明かさないようにするところとか本当に好きです。これからも頑張ってください。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: 41f82b2237 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - Yさん» コメントありがとうございます!儚さは私の意識している点でもあるのでとても嬉しいです。終わりを残念だと感じていただけるような作品をかけてよかったです。ですが、まだ終わりそうもないので引き続きお付き合いください。笑 応援、本当にありがとうございます。 (2017年4月16日 16時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2016年9月8日 17時

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