【財前光】名無しの君へ、

２９真実 ページ30

「財前君のブログは前から読んでた。


私が大阪に引っ越してきた日、探検してたの。
その時、あの公園に財前君がいた。

突っ立ったまま動かないからなにしてるのかと思ったら、泣いてた……そのうち声まであげて泣き出した。

私、涙とか苦手だったのに、財前君の涙は綺麗だと思った一目ぼれ、だったのかな？

そのことがブログに書いてあって、貴方だとすぐにわかった。


転校した学校がたまたま財前君と同じでさ、初めて話しかけた時、緊張してたんだよ？

あんなに泣いてたのに、無口だし、冷たいしよくわからなかった。

でもね、チャットで財前君と話してたり、テニスしてるところ見たら、すごい好きになっちゃって、一生懸命で、天才なんて言われてるけど、ちゃんと努力して、冷たいようで、本当は誰よりも優しくて。


チャットで話せても学校では上手くいかなくて、かなり悩んでたけどね、友達に言われたの
財前君が私のことを好きかもって。

馬鹿みたいに舞い上がって、でも告白なんてできなくて、だから財前君の恋を応援してる振りしてた。


ずるい、女だよね……。

だからばちが当たったのかな？

簡単に振られちゃって、馬鹿みたいに勘違いしてたのが、すごく恥ずかしくて。



ピアス、着けててくれたんだね。

それ、ずっとあげようと思ってたの。

財前君の趣味なんて知らないから、壊れちゃったやつと全く同じもの。

本当はね、あの日ちゃんと会おうと思ってたんだよ？

でも、無理だった。

怖かったの、だから、逃げちゃった。


罪悪感が消えなくて、次ぎ会ったら必ず謝ろうと思ってた、本当にごめんなさい。」

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