11.どこへだって行こう ページ12
エ「おねえちゃん？」
気づけば足取りが遅くなってた。
「ううん、なんでもないよ！」
一度立ち止まってその不安げな顔をみて我にかえった。
エ「道…暗いし、せまいね。」
「ここは路地だからね。きっと入り組んでるんだよ、歩いてたらそのうち大きな道に出られるよ。」
ふたりで手を繋ぎながら角を曲がったりして歩き続けた。
エ「お外、空気がちがう。」
「そうだね…」
エ「空…すごく高いね。」
エリはぼーっと上を見つめて呟いた。
そんな、何気ない一言にわたしは眉をハの字にした。
エ「おねえちゃん、わたしたちどこまでいくの？」
「それは…」
わかんない、っていうのが本音。でも、わたしは強がりなんだ。
「どこへでも行こうよ、エリ！」
エ「え？」
「まず〜遊園地でしょ？動物園に水族館！ゲームセンターいったり、服もかわいいのを買ってこんな服は捨てちゃおうよ！」
こんなのよりもっとかわいい服、おねえちゃんが選んであげる！
そもそも服のちょいす？が、さいあくだよ…エリはこんなにかわいいのに！
エ「ほ、ほんと…！？じゃありんごがいっぱいはえてるとこ行きたい！」
「いいね！」
エ「他はね、えっと…」
他愛もない話、現実味の薄い話。
でも、こんなにふたりして心おどることはひさしぶりだなぁ。
「おねえちゃんに任せなさい！」
わたしがきっと変えてみせる。あなたが自由に生きられる、そんな…世界を＿＿
「＿＿＿どこへ行くんだ。A、壊理。」
その一瞬、息がとまった。
「全く…探したよ。おまえたちはよく俺を困らせてくれる。」
汗がツゥ…とこめかみを流れる。
聞き覚えのある声に…うしろを振り返るとあの男はいた。
治「よくもまあ…また懲りずにやってくれたな、A。」
まるであの時を追体験してる感覚に体が小さく震えるのを＿＿拳を握りしめておさえこんだ。
「エリ、後ろに。」
エ「っ…」
後ろにまわるとぎゅっと抱きついた。
治「よくあの世話役の男を閉じ込められたな。あれほど気を抜くなと注意したのに…全く使えない。他の警備も甘くしたつもりはなかったのにな。」
そう言ってため息をつく。
治「鍵を折ったのは足止めのためだな？逃げ出したのが俺にバレるのを遅らせる…そういうことだろう。」
こっちの思惑までお見通し。
カラスのようなマスクをつけた男の目は細められ、わたしたちを"逃がさない"といってるみたいだった。
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
