10.逃げ出せ少女たち ページ11
コンコン__ノックの後にいつも通り扉が開いた。
「よう、朝メシの時間だ。って、起きてんのか。」
手を繋いだエリがすごく緊張しているのがわかる。……"大丈夫"の代わりに手に力をこめる。
「……」
エ「っ…」
心臓の音が段々大きくなる。
世話役のひとは部屋へはいり、不意に本棚へ近づいた。
「ったくこんなもんかき集めてなんになんのかね…」
本棚へ手をのばす。
「っ!!」
エリの手を引いていっきに走り出すと、部屋の外へ飛び出す。
「は…!!?」
___バンッ!!!
すぐに扉を閉めてノブにさしてある鍵をまわしてロックした。
ダンダンダン_!!!
「このッ!開けろ!!開けやがれ!!」
バキン、と鍵穴にさしこんだまま鍵を折った。
エ「お、おねえちゃんっ…」
「ハァ…!や、やった…!やっぱりこのひと鍵さしたままだったんだ。」
クソガキ共!!と扉を叩きつづける男にエリは怯える。その手を握って誰もいない廊下を走り出した。
「__行こう!」
__
____
「たしか、…ここをこう行って…」
おかしい、前に脱走したときの道は忘れてないはずなのに。
エ「おねえちゃん…」
手を繋ぐエリは不安そうにこっちを見上げる。
「エリ、もう少し我慢してね。かならず見つけるから。」
エ「う、うんっ」
練り歩くしかない。
でも時間がかかりすぎると部屋から出たことがバレてしまう。
エ「おねえちゃん…!あれ、あれっ!」
ひっぱられてエリが指さす先には扉。近づいてエリには後ろにさがってもらってまずわたしが中を覗いた。
「エリ…___お手柄だよ…!!」
扉の先は階段だった。
「とりあえず地上に出れる…!」
エ「ほんと…?わたし、役にたてた?」
「もちろん!役にたちすぎだよ…!」
声をおさえながらそれでも褒める。
こんな状況、ふたりで少しの希望にかたくなった表情がほんのちょっと緩んだ。
__
___
「エリ、限界だったらすぐ言うんだよ。」
エ「うん…」
妹の額にでた汗を手でやさしく拭う。
上へあがったあとやっと裏口のようなものをみつける。
扉を開けたらうすぐらい路地につながってた。
「行くよ…!」
エ「うんっ」
ペタペタと裸足のまま走り出す、とにかくここから離れなくちゃ。
そしてそのあとは
『__見逃すから命だけは…!!』
その、あとは…__
__そのあとは、どうする?
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度!と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます! (2月12日 14時) (レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳?...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!読んでいただいて、嬉しいかぎりです! (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか?それくらい感動しました! (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました! (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pino | 作成日時:2020年1月7日 12時