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松「Aの彼氏に会いたいし。会って一発殴りたい」
貴「は……?」
何かの冗談だと思った。
酷い冗談。
乱菊さんの場合は、あり得る。
当の本人は、何でもない風にお茶を啜っている。
なんだ、本当に冗談か。
強張った表情筋が緩む。
雛「Aちゃんって、彼氏居たの!?初耳だよ」
貴「えぇ、まぁ……」
曖昧に相槌をうちながら、乱菊さんを盗み見た。
目が合った。
灰色の瞳は、真っ直ぐに私を見る。
___そらせない。
松「A」
短く、はっきりと名前を呼ばれる。
肩が強張るのを感じた。
松「___後で話があるの」
貴「……分かりました…あははは、乱菊さんが珍しく真面目で、ちょっと怖くなっちゃったじゃないですか」
雛「どうしたんですか?乱菊さん?」
松「いえ」
そう言って、また私を見た。
松「ちょっと、ね」
勘定はあたしがするわ、と言って乱菊さんは席を立った。
雛森先輩はそれを追いかける。
一人残された私は、灰色の瞳を思い出し、これから先を想像する。
貴「……くそっ」
どうなったらこうなるんだろう。
乱菊さんに気付かれたとなれば、もう終わりだと考えた方が良いだろう。
何しろ、彼女の伝達速度は音速だ。
パニックを起こしているクセに、思考は冷静だ。
十二番隊に居た時に培われてきたんだな。
無性に実験器具に触れたくなった。
白衣を着て、媒体の研究を続けたいな。
あれから途中で終わっちゃったし。
現実逃避が最近激しい。
後から辛くなるって、分かっているんだけどな。
私の悪い所かもしれない。
貴「今は今。その時はその時」
小さく呟いて、席を立った。
雛「行くよー。乱菊さんの奢りって滅多にないから、良かったね」
松「感謝しなさいよぉ」
乱菊さんは、もういつも通りの笑顔だった。
貴「……今は今。その時はその時」
もう一度、呟いた。
まるで自分に言い聞かせてるように。
ラッキークリスマスプレゼント
ケーキ
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キラ(プロフ) - とっても面白いです!!楽しみに待ってます! (2018年12月9日 22時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
叶羽(プロフ) - ヤバいです!!喜助さんかっけー!!!!!! (2014年5月22日 20時) (レス) id: 1de2df6c67 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 面白かったです(´∀`) (2013年12月23日 14時) (レス) id: ad6546bcf2 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - しのさん» 大丈夫ですよー(*´∇`*)了解です! (2013年7月19日 0時) (携帯から) (レス) id: b4c601e43f (このIDを非表示/違反報告)
さくまどろっぷす(プロフ) - しのさん…!通知があってソッコー来ましたよ(別にそうでもない)!しのさんの作風が大好きなので、いつまでも応援してます!頑張って下さい! (2013年7月3日 18時) (携帯から) (レス) id: 37a80ee47e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しの | 作成日時:2012年11月17日 21時