【進撃の巨人】名前のない物語【男主】 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:11,833 hit

第三話ページ5

｢弟、か。悪くねぇな。｣

『……いや、いやいや、まさか…』

｢ここに連れてこい。｣

『いや、無理だって！っていうか、私がさせないから！』

こんな所にエレンを連れてきたら……

｢いいじゃねぇか。｣

『……いや、それ以前に、私の存在自体知らされていないかも。』

｢え？どういう事？｣

『…あ、うん…。私が訓練兵になる時に弟が生まれたから…。』

｢ほぅ。なるほどな。じゃあ、知らねぇだろうな。｣

『…うん。』

｢ねぇ、その話詳しく聞かせて？？！｣

大興奮気味のハンジは放っておいて、俺たちは訓練所をあとにした。

｢え、ちょっと？！A、リヴァイ！待ってってばー！！｣

それから俺は、すぐにエルヴィンのいる部屋へ向かった。

『…はぁ。』

｢どうした、A。｣

『……エルヴィン、お願いがあるんだけど…。』

｢ん？｣

『俺の弟……エレン・イェーガーって言うんだけどさ。』

｢……あぁ、この子か。｣

エルヴィンは顔写真のついた紙を見つめる。

『うん、可愛いでしょ。いいでしょ。』

｢…それで？｣

『…もし、もし！エレンがここを希望したら……』

｢…断れ、と？｣

『お願いします、神様、仏様、エルヴィン様。』

と俺は拝む。

｢…うーん……まぁ、な。掛け合ってみるよ。…ただ、エレン・イェーガーは、あの出来事から、深い意志を持ってここにいる。｣

『…まさか、』

｢…あぁ、そのまさかだ。…巨人を一匹残らず駆逐する、と。…だから、｣

『…調査兵団(ここ)希望、なんだ。』

心のどこかで、

エレンはここに来るのではないか。

と思っていた。

調査兵団に入ると、大切な仲間を失ってしまう。

……もう、大切な人は失いたくない。

『…お願いね、エルヴィン…。』

｢……分かったよ。｣

はぁ、と溜め息をつく。

エレンは無事だろうか、

エレンはちゃんとやっているだろうか、

エレンは、

エレンは…………。

『駄目だ、仕事に手がつかない。』

｢ちょっといいか。｣

『リヴァイ。……うん、いいよ。』

｢次の壁外調査だが…｣

『…あぁ、うん。…ここに私が入るよ。そしたら、リヴァイはここで…………』

｢助かった。｣

『うん、いいよ。』

｢…大丈夫か。あまり気にしすぎるなよ。｣

『？！…うん、ありがとう。』

気にしすぎ、か…………。