第7夜 ページ8
＊
コツコツと、石を踏む音が近付いてくる。
『あ、地図ですか？ありがた...あ、違った...』
嬉々として顔を上げたAだったが、目の前に現れたのがエルヴィンじゃないのを確認して項垂れる。
「...地図だ」
『...あ、ありがとうございます...』
ぶっきらぼうに鉄格子の隙間から差し出された、丸められた羊皮紙。
先程肉が貴重だという会話もしたため、羊皮紙も珍しいものだと思われる。
するりと結ばれていた紐を解き、簡易的な机の上へ広げた。
『...随分と狭い地図ですね』
縮尺も確認した上で、あまりにも小規模すぎる地図に手を置く。
そりゃそうだと言わんばかりに、地図を持ってきた男は、牢の前の椅子に荒々しく座った。
『ところで。貴方は？私はAです』
彼女はしっかりと自分の名前を述べる。無理矢理にでも伝えることで、相手も言わなければならないような空気を作った。
「...リヴァイだ」
...黒髪の、背の...低い...
彼から軽い舌打ちが聞こえたのは気の所為ではないだろう。
Aは地図からリヴァイに視線を移し、その鋭い目の中に潜む哀愁を汲み取る。
この人は大事な人を失ったばかりなんだ。と、瞬時に理解した。
『...この本、巨人についての本 読ませて貰いましたけど...巨人って圧倒的すぎてもはや笑えませんね』
リヴァイはAに目を向けるが、今の彼からは気だるさが滲み出ている。
そして、こいつ何言ってんだ？という視線をAは向けられた。
『...いやぁ、なんだか...彼らにも彼らなりの事情か何かあるのかもしれませんけど、そもそも感情がないのにこんな仕打ちは...
...単純に言うと、なめんなよって、見返したくなりますよね』
言葉にするには上手くいかなかったが、腹の中で燻る感情は、確かにある。
口をつぐんだきりのリヴァイを見て、Aは「あ」と思い出したような声を出した。
『そういえば。地図には海がありませんね。内陸国ですか...隣国もないとしたら さぞかし大変でしょうに...』
「は？」
『えっ？』
初めて反応した彼は、非常に衝撃を受けたようだ。
「...今...なんて言った...？」
『...大変でしょうに...？』
「違う」
静かだが 気迫のある声に押されて、Aは少し焦る。
『...地図に海がない...？』
「...『海』だと...」
単語を確かめると、リヴァイはどこかへ行ってしまった。
彼女は1人、口を滑らせたのかもしれない...と、話の内容を後悔した。
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練紅龍(プロフ) - らんまるさん» ひぃぃありがとうございます！嬉しくて動悸が...！コツコツでもなんでも頑張ってくっきゃないですね！(｀ω´) (2019年6月17日 21時) (
レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - かまぼ子さん» ありがとうございます！キノコはそこらじゅうに生えてます。その一部の頭に生えていた分をとりました|彡ｻｯ！ (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
らんまる - こういうのを誰かやってくれると思ってました。想像以上に面白くて更新が楽しみで仕方ありません。ゆっくりまったりお待ちしておりますので、これからも頑張ってください！(*^^*) (2019年6月16日 22時) (レス) id: 1ad8a87860 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼ子(プロフ) - ハンジとの絡みがかなりハマりました。きのこは頭に生えてる感じでしょうか？更新楽しみにしてます^o^ (2019年6月16日 20時) (レス) id: 48e845b0f0 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 桔梗さん» とても嬉しいです！ぼちぼち更新ですが、励みになります。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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