第22夜 ページ23
先程まで頑固拒否とばかりに吠えていた者達が押し黙る。
地下街の出であろう。
つい1年程前に入団したばかりではないか。
信用できるものか。
そう言いたかったのは確かだ。だが彼らの口は何かものを発しようとパクパク動くだけで、空気を震わせることはない。
リヴァイは他の団員と頭一つ__いや、二つも三つも抜きん出ていた。
古参の兵士でさえも凌ぐその業績は、まさに人類最強そのものだった。
「__し、しかし...そうはいっても此奴の力は未知数で...」
ようやく、喉につっかえていた何かを取り除いて反駁し始めた男だったが。
『あの、発言してもよろしいでしょうか?』
ヒッと恐怖で息を飲む音がした。
正座してからずっと審議を傍聴していた女が口を開いたからだ。
「だ、黙らせろ!口を開かせるな!!」
殺すかもしれん!!と、上層貴族は騒ぎ立てる。
そんな中でもAはダリスだけを見つめていた。彼女にとって彼らの喧騒は、気にするに足らないものなのであろう。
ダリスもまた、彼女に視線をかえす。
カン、というガベルの音が響いた。
「静粛に。...君の発言を認めよう」
『ありがとうございます』
ダリスの一声に静寂がその場を包んだが、Aのこれからの行動が気が気でないのかソワソワとした眼差しは多いままである。
誰もが彼女の一挙一動を見逃すまいと、固唾を飲んだ。
『私が危険分子なのではないか、ということのようですが...その話は無駄ではないでしょうか』
「やはり我々に害を___」
「静粛に」
弾かれたように反応した男を、ダリスはひと睨みした。続けなさい、とAに顔を戻す。
『...私がなんと言おうが、あなた達の疑念は晴れないのではないでしょうか。得体の知れない人を信用できる人は少ないでしょう。なので、信じなくても構いません』
此奴は自分を殺してほしいのか?
数人がそう思った。しかし、その考えは彼女の僅かに上がった口角によって消え去られる。
『私を、兵器として使いませんか?』
会場がざわめいた。
てっきり強行に出るか、女だからといって泣くか、そんなものだと図っていたがのだが。
その整った唇で紡がれたのは“兵器”というなんとも物騒なものだった。しかもその顔に浮かぶのは笑顔。彼女は審議を受けにきているのではなく、商談をしにきているのではないだろうか。
ダリスは興味深そうに眉を上げた。
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練紅龍(プロフ) - らんまるさん» ひぃぃありがとうございます!嬉しくて動悸が...!コツコツでもなんでも頑張ってくっきゃないですね!(`ω´) (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - かまぼ子さん» ありがとうございます!キノコはそこらじゅうに生えてます。その一部の頭に生えていた分をとりました|彡サッ! (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
らんまる - こういうのを誰かやってくれると思ってました。想像以上に面白くて更新が楽しみで仕方ありません。ゆっくりまったりお待ちしておりますので、これからも頑張ってください!(*^^*) (2019年6月16日 22時) (レス) id: 1ad8a87860 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼ子(プロフ) - ハンジとの絡みがかなりハマりました。きのこは頭に生えてる感じでしょうか?更新楽しみにしてます^o^ (2019年6月16日 20時) (レス) id: 48e845b0f0 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 桔梗さん» とても嬉しいです!ぼちぼち更新ですが、励みになります。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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