第19夜 ページ20
＊
___目が覚めた。
鉛のスーツでも着ているんだろうかと考えてしまう程の気だるさを感じながら起き上がる。
それの動作と同時に鳴った、ジャラリという重々しい音。
以前よりも太くて頑丈な手枷がついていた。しかもその根元は壁に固定されているときた。
「...！おい、起きたぞっ...！」
見張りであろう憲兵の1人が、赤い目が開かれたことに気が付いた。
「お、俺は報告に行ってくる...」
足早に去ろうとするもう1人の見張りを、彼は引き止めた。
「お前っ！俺が行く！」
「お前は俺より強いだろ...！！」
「つっても人間なんてすぐに潰されるだろ！？関係ねー！」
「いいから！」
そう言って彼は引き止め続ける男の肩を強く叩いて、駆け足で階段を登っていった。
彼女___Aは、此処が地下牢であることと、なんとか生還したことを理解した。
目の前の見張りはビクビクしながら彼女の様子を伺っている。
決していい気分ではなかった。
暫くして。カツカツと聞き慣れた靴音が、地下に響く。
『...エルヴィンさんとリヴァイさん？』
彼女の問いかけを拾った見張りは、ギョッと目を見開く。
靴音だけで、人物を特定するのか。と。
「A...！」
Aが起き上がっているのを見て、エルヴィンは ほっと息を漏らした。
対する彼女も、彼らが生きていたことに安心したように、目元を和らげた。
「君と接触するのに随分手間取っていたんだが...タイミングがよかった」
エルヴィンはゆっくりと牢の前の椅子に腰掛ける。
リヴァイはその隣に黙って立っていた。その表情は なにやら難しそうで、眉間にシワが刻まれていた。
エルヴィンが、口を開く。
「今君の身柄は憲兵団が受け持っている。コチラに引き渡してほしかったんだが...今まで多く接触していたのが裏目に出たようでな...すまない」
申し訳なさそうな彼に、Aは いいえ とハッキリ口にした。
『私が何処に管理されていようが、今後裁判か何かしらの形で尋問やら何やらあることに変わりはありません』
「...よく回る頭だな」
眉をさげて一言言うと、そのことなんだが...と話を続けた。
「近々君の審議がある...君は、これからどうしたい？」
どう。
Aは小さく繰り返す。
そしてエルヴィンとリヴァイをまっすぐ見つめた。
『調査兵団で、あなた方に協力します』
「...その言葉が聞きたかった」
エルヴィンは口角を僅かに上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
練紅龍(プロフ) - らんまるさん» ひぃぃありがとうございます！嬉しくて動悸が...！コツコツでもなんでも頑張ってくっきゃないですね！(｀ω´) (2019年6月17日 21時) (
レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - かまぼ子さん» ありがとうございます！キノコはそこらじゅうに生えてます。その一部の頭に生えていた分をとりました|彡ｻｯ！ (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
らんまる - こういうのを誰かやってくれると思ってました。想像以上に面白くて更新が楽しみで仕方ありません。ゆっくりまったりお待ちしておりますので、これからも頑張ってください！(*^^*) (2019年6月16日 22時) (レス) id: 1ad8a87860 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼ子(プロフ) - ハンジとの絡みがかなりハマりました。きのこは頭に生えてる感じでしょうか？更新楽しみにしてます^o^ (2019年6月16日 20時) (レス) id: 48e845b0f0 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 桔梗さん» とても嬉しいです！ぼちぼち更新ですが、励みになります。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
