ねぇ、好きだって言ってよ。【進撃の巨人】

エピローグ ページ48

ペラ…と静かにページをめくる。

今日も昨日と同じように書類とにらめっこをしている。

『そんな固い表情でやんなくてもいいのにー。』

「うるせぇな…。」




ふぅ、とひとつ溜め息をついて窓の外を見る。

『リヴァイがそうやると…とっても絵になるね。』

「いいからお前も手伝え。」



カチャ…と音をたてて紅茶の入ったティーカップを口元へと運ぶ。

『リヴァイは紅茶好きだねぇ。
牛乳入れてミルクティーにしちゃえ！』

「俺はそんな甘党じゃねぇ。」



チラッと時計を見ると会議の時間まであと少しとなっている。

「そろそろ準備するか…。」

『だね。
いやぁ…会議って眠くなるよねぇ。』

「それはお前だけだ。」




幻聴だとわかっていて


それでも…


「…すまねぇ。」


ここに彼女はいないのに。


いつだって俺を助けてくれた…

いつだって俺を笑わせてくれた…

いつだってこんな俺に好きと言ってくれた…


だけど裏では、

たった一人で苦しんで

たった一人で戦って


それなのに俺は気付いてあげられなかったんだ。



その罪悪感…これは、死ぬまで背負わなければいけない。

『なんでも背負いすぎー！
ちょっとは私に頼っていいのに！』


俺の中の彼女はそう言った。

自分にいいように考えすぎだとわかっていながらも。


でもあいつの言いそうな事だった。

そっと窓の外を見た。




「バカ…リ……。
私が…って…わけな…し…？」


「は…！？」

それは、確かに聴こえたあいつの声。




「私…大丈…だ…ら。
もっ…笑っ…生…てよ。」



ポタ…と、床に、目から溢れ出た水が落ちた。


『バカリヴァイ。私が怒ってるわけないでしょ？』
『私は大丈夫だから。もっと笑って生きてよ。』

確かにそう言った。



幻聴だってなんだっていい。



俺の中にあいつは生きている。



「あぁ…そうだった…。ごめんよりも言わなきゃいけない事があったよな…。」


ガタン…と重い腰を上げる。



窓を開けると綺麗な青空があった。

手を伸ばせば届きそうなのに伸ばしても届かない。




「…A。









好きだ。」









見えない彼女は、ふわりと笑う。









「＿ねぇ、









…好きだって言ってくれて









ありがとう。」

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