Smile ページ9
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亮さんの弟くんがあの子とやたら話してる。この短時間で仲良くなれたんだろうか。二人ともコミュ力がめっちゃ高いようには見えないけど。
なんとなくだったんだけど、掴んだ腕。間違ってなかったんだと今は思う。
二人を見ている時のあの目の輝き方よ。これは絶対あの子だと確信した。
で、なんでここまで連れてきたかって、まぁそれはいろんな理由あるんだけど…イヤイヤ!下心はないって!
「じゃあ僕たち戻りますね」
「うん。またいつか。練習頑張ってね、みんな」
「あざっす」
「ありがとうございます!」
三人を見送ると、振り返って俺を見てきた。おぉ、顔初めてちゃんと見たかも。
「悪かったな、急に連れてきて」
「悪いと思ってるならジュース2本おごってよ」
「そう来たか」
思わず声を出して笑う。面白いなこの子。
「…初めてだね、ちゃんと話をするのは」
「え?」
「や、ほ、ほら、クラス一緒だけどさ、あんまり話もしないし…」
「そういやそうだな」
バレてないと思ってるからそうやって誤魔化したんだろうか。まぁ事実初めて話をする。クラスででも話をすることがないから、今日が初めて。
「御幸はいつも教室で何読んでるの?」
「あぁあれ?スコアブック」
「読んでて何か分かることあるの?」
「うーん…そう言われると回答に困りますな」
多分この子は分からないふりをしてるんだろう。ちょっと可愛いな。
「お前は野球のルール知らない?」
「それなりには知ってるつもり…だけど、まだポジションとか分からないかも」
「そうか」
「君は確かキャッチャーだったよね」
「おう」
「キャッチャーの醍醐味って何?」
「そうだなぁ…」
なんだろう。あんまり考えたことないかもしれないな。
「…ごめん」
「なんで謝るのさ」
「イヤ…答えにくい質問しちゃったかなと思って」
「別にそんなことねぇよ。考えてみたけど、よく分かんなくて」
「そっか」
「お前は部活なんだったっけ」
「美術部」
「じゃあ絵上手いだろ」
「そんなことないよ」
知ってて聞く俺も、なかなか性格悪いよな。
「御幸ーっ!着替えてきたぞ!」
「おうおう早いこと」
話をしていたらあっという間だったな。
「悪いな。ついてきてくれ」
「分かった」
「帰り、遅くなるかもしれねえけど」
「いいよ。頼みなら仕方ないし、ジュースおごってもらってないし」
「ははっ!分かった分かった、3本な!」
「そこまでしなくていいよ」
くすりと笑った彼女。なんだ、普通に可愛いじゃん。
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綾音 - 戻ってこられてよかったです!私からぬいぐるみを取ったら…から見てました!新作も御幸くんで嬉しいです!頑張ってください! (2017年9月15日 21時) (レス) id: 4b92f9c76f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ray | 作成日時:2017年9月13日 23時