検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:3,583 hit

Gate ページ6

---

日が落ちて、辺りも暗くなった頃にさて帰るかと腰を上げる。今日も結構描いたな。もうじきスケブのページもなくなるし、帰りに買っていこう。いつもの文房具屋さん、まだ開いてるかな。

「うーん…」

部室へ戻るまでの道で、今日描いたものを見返す。思わず苦笑しちゃったよね。相変わらずきったないし、途中から描いてる人同じだし。コイツは何をしにこの部活を影から見ているんだ。

昇降口に靴を脱ぎ捨てて、そのまま階段を上っていく。3階の奥突き当りが部室だ。部員も友達も帰っちゃったから電気は消されていて暗い。ま、慣れたもんです。

部室の鍵を開けて中に入る。入ったとたんに油絵具の匂いが鼻を掠める。嫌いじゃない。

荷物を取ってから、とりあえず一通り点検。大丈夫そうね。

こういう生活にも慣れつつある。悪い気はしないし、私のためだけに待たせたりするのは申し訳ないしね。でも少し寂しいというか。

まぁ今に始まった話じゃないから、本当、どうでもいいっていうか、慣れたっていうかさ。要は戯言。

「…」

脱ぎ捨ててった靴を履いて外に出た。みんなぞろぞろと帰っていく。

いろんな会話が聞こえてくる。課題が終わっていないだの、明日の授業忘れただの、月末のテストがやばいだの、すごく普通の会話。でもそれが、なんだかとても心に刺さった。

一人は寂しいものなのだと、気付くのにはそう時間はかからない。

「…」

こういうとき、寮で生活しているあの人たちはどうしてるんだろう。ていうか、親と離れて生活するって寂しくないのかな。かくいう私も今親と一緒にいないけどさ。

うん、寂しくないな。思いだせばそんなに寂しくないや。ははっ。

「ごめんちょっと待って」
「?!」

あれこれ思いだしながら正門を出ようとしたら、急に腕を引かれた。な、なんだよ誰だ?!

振り返ると…

「君確か…」
「そう、御幸一也。お前と同じクラスの」
「な、なんで君こんなところに…」

さっきまで野球グラウンドにいたんじゃ…ていうか何故練習着のまま…?

「あのさ」
「は、はい」
「ちょっと来てくれない?」
「え」
「頼むよ」
「ちょっ、え、何」

半ば引きずられるようにして連れて行かれる。おいおい待ってくださいよ御幸一也くん。

すごい視線が突き刺さるんだけど。多分この絵ヅラのせいだろうけどさ、でもさ、何より君のその顔のせいだと思うんだけどさ!

「何あれ」
「ウケる」

笑われてんじゃねえか!!おいこら御幸一也!!

Boys→←Meteor



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

綾音 - 戻ってこられてよかったです!私からぬいぐるみを取ったら…から見てました!新作も御幸くんで嬉しいです!頑張ってください! (2017年9月15日 21時) (レス) id: 4b92f9c76f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Ray | 作成日時:2017年9月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。