Meteor ページ5
---
「わー…!」
今日はまた一段と気合入ってるなぁ…!きらっきらしてる…!新学期が始まるのを心待ちにしてたよ!
見逃せない一瞬一瞬をスケッチブックに描いていく。多少紙や手が汚れても構わない。二度と見られないその瞬間を描きとめることが、私が今やるべきことだから。
「…」
誰もいないんだから、会話がなくて当然なんだけどさ。この静けさがすごく心地いいんだよね。絶対無音じゃないんだけど。
他のグラウンドからも聞こえてくる声とか、木々が風で揺れて葉が擦れる音とか、ボールがミットに入るあの音とか。全部がすごく心地よくて。
この空間で、誰にも見られず静かに絵を描けるってとても幸せなんだよね。
「あー」
違う違う、描きたいのはこれじゃない。もっとこう…大きい派手な動きで……。
と、そのときだった。どこかでフェンスに何かがぶつかる音が聞こえた。なんだろう、どこからかな。まさか喧嘩とか…?なわけないよね。
そうだ、ちょっと散策がてら歩いて探してみようかな。なんだかんだ言って、ここ以外の場所あんまり覚えてないんだよね。よし、丁度いい。
立ち上がってからスカートのほこりを取っ払って歩き始める。
少し歩きまわっていたら、なんか小さなプレハブ小屋みたいな場所を見つけた。そこから人の声が聞こえる。どうやらさっきの変な音はここから聞こえていたみたいだ。ほうほう、これはなんだ?
「だーかーらー、お前はもっとこう…」
「うるせーっ!!好きに投げさせろ!!」
「バカ言ってんじゃねぇ、お前にはまだ早い」
「先輩…早く…」
「お前ももうちょっと待てって」
この声は御幸か。ちょっと覗いて見るとビンゴ。それと、見たことのない子が二人いた。一人は随分体が大きい。
「もう少し考えて投げられねぇのか、沢村」
「考えてる!」
「ハイ俺先輩ね」
「先輩…!」
「ちょっと待てって降谷!」
沢村君と降谷君って言うのか。初めて聞いたから、一年生かな?御幸直々の指導ってことは、多分期待のルーキーくんたちなんだろうなぁ。
この子たちが投げている姿、見てみたいよ。とても素敵なんだろうなぁ。うーんうずうずしてきた!この気持ちは別のもので消化するしかない!
君たちの顔が見られないのは残念だけど、次の機会に取っておくよ!楽しみにしてるからね!
「って…誰に向かって言ってるんだか…」
ちょっと残念な気持ちを抱えながら、さっきいた場所まで足早に戻った。
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綾音 - 戻ってこられてよかったです!私からぬいぐるみを取ったら…から見てました!新作も御幸くんで嬉しいです!頑張ってください! (2017年9月15日 21時) (レス) id: 4b92f9c76f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ray | 作成日時:2017年9月13日 23時