薄桜鬼 宵闇に溶ける

頭痛 ページ47

Aｓｉｄｅ


池田屋にいた尊王攘夷の過激派浪士の二十数名のうち、七名を打ち取り四名に手傷を負わせた。

数が相手に劣る中飛び込んでいったことを想えば、目覚ましい成果だった。


でも、新選組が無傷だったわけではない。隊士の一命が戦死し、重傷を負った者が２名・・・いや
俺を入れて３名かな・・・？



皆が血に塗れて固くなった隊服をはためかせ、誠の旗を掲げ屯所へと戻った姿を、俺もみたかった。
意識を取り戻したのは騒動から一夜明けた昼ごろで、気付いたら屯所で寝ていたのだ。



ズキズキと傷む頭を押さえ、障子戸をあけた。

「っ・・・まぶしい・・・」

血が付いたままの着物を着換え、表に出ると、屯所内はひそかに歓喜の余韻があるようだった。

そうだよな、皆いつも地味な仕事ばかりだし。池田屋はでっかい捕り物だったもんな。
きしむ体を伸ばして昼の日差しにあたる。

昨日は、久々に多く人を斬ったから疲れたな。

ふー、と息をつく。

俺の働きが少しでも新選組の役に立っていればいいのだが。
なんせ、肝心なところ意識がなかったからな・・・


重傷に見えた沖田さんは大丈夫だったんだろうか？

刀は握れるのか？

もし握れなくなってしまっていたら・・・

俺は・・・

「っ！！」

悪い想像にドクンと心臓がはねた。
そのせいか頭に痛みが走る。

「いっ・・・つうっ」

ぐらりと視界が揺らいで、膝をつく。

いってェ・・・風間の奴、本気でやりやがった。
グルグル回る感じがする。・・・・気持ち悪い

「っ・・・う・・・はぁ・・・うっ・・・」
息が苦しくなって、かすかにせり上がってくるものを感じた。
待て、待て・・・ここで吐くな・・・
柱に、すがるようにして捕まる。
吐いてはいけない。なのに動けない・・・・どうしよう
頭痛い・・・
沖「A？・・・大丈夫？」
突然後ろから声がした。
驚くが、体を動かすことができない。

「？！・・・沖田さっ・・・？大丈夫ですっ・・・うっ・・・っ」
沖「そんなふうに見えないんだけど？・・・ほら部屋に戻って・・・」

肩を抱かれて支えられる。

「沖田さんだって・・・・怪我してるじゃないですか・・・っ」
沖「その前に君だよ」

待ってください・・・小姓としてそんなことできないです・・・

そういいたいのに、声にならない。

沖「あのさぁ・・・・君・・・」

「っ・・・？」

声色が変わった・・・怖い・・・・

沖「今度僕にあんな心配かけたら・・・斬るよ・・・？」

始まり→←風間

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す