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紅い痕跡 ページ34

芹沢暗殺が今日、決行される。
不穏な空気はなく、いつも通りの朝。
ただ空はいつもより淀んでいて、雨が時々降ってきていた。

最近真ん丸に満ちて辺りを明るく照らす月も、この天気では見えないだろう。

「お月さんもなりを潜めるのか・・・」

月までが芹沢さんの死に加担するのかな・・・・


月の光を刀は不気味なほど反射する。
だから、人に気づかれないようにするためには月の出ない夜に
行うのがいい。(って原田さんが言ってた)

宴を催し、浮かれる隊士たちをよそに俺は切なくなっていた。


あの人別にいい人じゃないけど、仲間に裏切られて死んでいくの?




廊下を歩いて稽古場に行こうとすると、庭に座り込む芹沢さんを見つけた。

「?」


具合でも悪いのか?




ひざを折ってしゃがむようにして、土を・・・手で掘ってる・・・・?



よく見ると、その骨ばった手の中に紅いつぼみがあった。



苗の様なものを大切そうに庭に植えている。
その背中は、今まで見たことがないほどに小さかった。


ふと立ち上がった芹沢さんと目があってしまった。
俺は突然に、見てはいけないものを見てしまったような気がして目をそらす。


「あ、すみませ・・・」

会釈して逃げようと背を向けると、待て、と声をかけられた。

「え・・・」

芹「・・水を持ってこい。手杯ほどでいい。」

「井戸ならそこに・・・」

井戸なら少し歩けばすぐだ。俺は弱弱しく井戸の方向を指差し、逃げようと足を前に出す。


芹「いいから持って来い。こんなこと、犬でもできるわ」

「なっ・・・・」


ああもう、腹立つなあ・・・

「わ、わかりました。持ってきます」

俺は言われた通りに井戸で水をくみ、水を手に入れこぼさないよう慎重に庭へ降りた。




芹「・・・ここに。」

特に指示がないので苗の根のほうに、土を掘らないようゆっくりと水をかけた。


「芹沢さんが植えたんですか・・・?」

芹「・・・・」

「・・・・・」

ん・・・・・?




芹「そうだ」

地味な沈黙の後ぶっきらぼうに言い、芹沢さんは行ってしまった。



独り庭にしゃがんで、花を植える芹沢さんの背中がまぶたに焼き付いて離れなく予感に
俺は心臓がはねた。

雨音→←月刃煌めく


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設定タグ:薄桜鬼 , 壬生浪士組 , 新選組   
作品ジャンル:アニメ
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付雲さくや - すみません…失礼します。 龍之助は『伊吹』ではなく、『井吹』です。 (2018年3月17日 21時) (レス) id: 3d0c4baa71 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます!うれしいです☆ (2013年11月8日 21時) (レス) id: babb1f1075 (このIDを非表示/違反報告)
ソラウ - すごく好きな主人公さんです♪続きがすごく読みたくなります! (2013年11月8日 21時) (レス) id: cc1ae89777 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります♪ (2013年10月20日 18時) (レス) id: 512126c44c (このIDを非表示/違反報告)
千花羅(プロフ) - 面白かったです♪続き楽しみです^ ^ (2013年10月20日 14時) (レス) id: 7bfc1ac2a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:心音桜花 | 作成日時:2013年10月5日 21時

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