役目 ページ30
薄暗い部屋の中、隊士たちのざわめきが遠くにきこえていた。
シンとした中、土方さんが口を開いた。
土「綱道さんの屋敷が燃えた」
「え・・・」
ドクン、と心臓がはねた。
一瞬信じられなかった。
「それってどういうことですか!?」
俺は驚きのあまり腰を浮かした。
落ち着け、と土方さんに言われ我に返る。
綱道の屋敷が・・・・燃えた?
耳元で心臓の音がする。気が遠くなっていく。
土「・・・調査中だ。まだ詳しくはわかってねぇから何とも言えねえが
骨は見つかってねえ。・・・薩長の仕業か、それともあの人の自作自演か」
「・・・」
土「どっちにしろ死んでる可能性は低い。・・悪かったな、
会わせることもしねえうちにこんなことになっちまって」
「い・・いえ・・・仕方ないです。ただこのままここにいれば、また見つけることはできますよね?」
土「やみくもに探しに行くよりゃましだろうな。」
土方さんは少し苦い表情をした。
まだ話はあるらしい。
土「・・・後な、お前に任務をやる。できるか」
「なんなりと」
任務・・・
薩長と殺り合うのか?
俺の考えは、土方さんの言葉で真っさらになった。
土「新見さんを斬る。お前はあの人が実験に使った羅刹を殺せ」
「羅刹を?」
土「そうだ。・・あの人も綱道さんもいねえのに、あんな状態の人間をこの屯所に置くのは危険だ。
羅刹の実験は続けるが、あれは失敗で勝手の知らねえ俺たちでどうこうできるもんじゃあねえからな」
「その始末を・・・俺に・・・?」
土「ああ。・・・できるな」
俺の腕と、羅刹の知識を見込んでの任務だろう。
答えはこれだけ。
「副長のご命令とあらば」
土「嫌な仕事ですまねえな・・・全部片付いたら、飲みに行くか。
そういや、お前の復帰祝いもしてなかったしな」
「はい!・・・・では俺はこれで・・・」
土「ああ。頼んだぞ。」
「はい。」
俺は深く礼をして、部屋を出た。
冬の空気がじわり、と着物ごしに伝わる。
廊下を歩く自分が、足からゆっくりと冷えていくのを感じた。
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付雲さくや - すみません…失礼します。 龍之助は『伊吹』ではなく、『井吹』です。 (2018年3月17日 21時) (レス) id: 3d0c4baa71 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます!うれしいです☆ (2013年11月8日 21時) (レス) id: babb1f1075 (このIDを非表示/違反報告)
ソラウ - すごく好きな主人公さんです♪続きがすごく読みたくなります! (2013年11月8日 21時) (レス) id: cc1ae89777 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります♪ (2013年10月20日 18時) (レス) id: 512126c44c (このIDを非表示/違反報告)
千花羅(プロフ) - 面白かったです♪続き楽しみです^ ^ (2013年10月20日 14時) (レス) id: 7bfc1ac2a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心音桜花 | 作成日時:2013年10月5日 21時