冬 ページ29
何かとあの人は優しい。
そこまで長い付き合いなわけでもないのに、やさしいのだ。
あの日のことを覚えている？
それとも気まぐれ？
「・・・ううん、何でもいい。気にするな。」
沖「何を？」
いつの間にか目の前に沖田さんがいた。
不意打ちに面食らう。
「・・・・あ・・・・」
沖「どうしたの、稽古にも来ないで。」
沖田さんは笑っている。
そして間違いなく俺をからかっている。
「あの、これを・・・・」
俺は、羽織を差し出す。
それを見て彼は、
沖「・・・ああ、僕のだね。それがどうしたの？」
という。
ここで動揺してはいけない。
いけないぞA。
「返しに来ました。お借りしていたようなので。・・・それより沖田さん。」
くっと沖田さんを見据える。
沖「何？」
彼は、予想通り風呂上がりのようで、髪がぬれていた。
髪に触れる着物の襟がぬれて少し色が違うのだ。
こんな冬に髪をふかずにいるなんて、風邪をひいても文句は言えない。
この人は、自分には無頓着なんだろうか。
「髪をちゃんとふいてください。こんな季節に・・・風邪ひきますよ。」
彼の手から手拭いを取って、俺は少し背伸びして沖田さんの頭をガシガシとふいた。
とっさに逃げようとする沖田さんの頭を俺は無理やり戻す。
沖「え・・ちょ、ま、A？・・・なに・・」
珍しく動揺している様子の沖田さん。
「風邪をひきます。」
ただ一言そう言った。
沖「わかったよ、やめ、・・・A、やめてって」
「ダメです。」
小姓として、放っておくわけには参りません。
その時後ろから声がした。
？「・・・なにやってんだお前ら・・・・」
土方さんだった。
「副長！」
土「おうA。にしても・・・いい格好だな、総司。」
苦笑しつつ土方さんは言う。
沖「ほっといてくださいよ」
少しむっとしたように沖田さんが言い返した。
「副長、どうしたんですか？」
俺のすきをついて、沖田さんは逃げて行った。
少し間が開いた後に、土方さんが口を開いた。
土「・・・影宮。少し話がある。いいか。」
「え・・・あ、はい。」
土「じゃあついて来い。」
俺は、土方さんの言う通り、後についていった。
土「総司や原田たちにはもう言った話なんだが、平隊士には聞かれちゃなんねえ話なんでな。」
「はあ・・・」
話ってなんだよ・・・・
俺は戸惑いつつも、その質問は飲み込むことにした。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
付雲さくや - すみません…失礼します。 龍之助は『伊吹』ではなく、『井吹』です。 (2018年3月17日 21時) (
レス) id: 3d0c4baa71 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます！うれしいです☆ (2013年11月8日 21時) (レス) id: babb1f1075 (このIDを非表示/違反報告)
ソラウ - すごく好きな主人公さんです♪続きがすごく読みたくなります！ (2013年11月8日 21時) (レス) id: cc1ae89777 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります♪ (2013年10月20日 18時) (レス) id: 512126c44c (このIDを非表示/違反報告)
千花羅(プロフ) - 面白かったです♪続き楽しみです^ ^ (2013年10月20日 14時) (レス) id: 7bfc1ac2a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：心音桜花 | 作成日時：2013年10月5日 21時
