島原の天神 ページ20
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最近は月がよく見える。
こんな晩は島原も賑わう。
ぼうっと月を眺めていると、お母さんから声がかかった。
母「紅糸。みぶろの芹沢はんから逢状が届いてんのやけど
お受けするのんか。あんたは大事なうちの天神や。
せやから危ない所にはよう行かせられへん。
でも、最後はあんたが決めなあかんで。
さ、どうするんや。」
島原の天神として迷ってはいられない。私ははっきりと言った。
「芹沢はん言うたらおとろしい方と聞いてます。
せやけど、お客はんはお客はんどす。喜んでお受けさせて
もろてよろしおすか。」
お母さんと呼んでいても母ではない。
ここ輪違屋の奥方だ。
京育ちというのは建前で、親に売られたおなごが
買われてここに来る。
それを育ててくれるのが、この人たちなのだ。
母「あんたがそう言うのならうちはよう止めしまへん。
ただ、危ないと思たら逃げぇや。」
「心得ましてん。お母さん。」
芹沢は女も斬る。
そんな恐怖がお母さんにはあったのだろう。自分のむすめとして育ててくれる。
輪違屋には過去に無礼討ちにされて斬られた太夫もいるのだ。
芹沢は島原のしきたりを守ろうとしない。
島原は花街としては由緒ある場で、江戸の吉原と
一緒にされては困る。
島原の芸妓はあくまでも芸を売る。
そのために必死に稽古をする。
だから体を売る吉原の女と同じではない。
芹沢はきっと太夫と花魁の違いをわかっていないのだ。
それをいやがる女は芹沢を自然と避ける。
真っ向勝負に出た音霧太夫は袈裟がけにバッサリと切られて
なくなった。
その時の様子はぼんやりとしか覚えていない。
ただ、この心には肉親を斬られたような憎しみが根付いた。
さて、どうやって芹沢を接待すべきか。
芹沢が来るにはまだ時間がある。
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紅糸・・・べにいと
音霧・・・おとぎり
みぶろ・・・壬生浪士組
です・・・
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8
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付雲さくや - すみません…失礼します。 龍之助は『伊吹』ではなく、『井吹』です。 (2018年3月17日 21時) (レス) id: 3d0c4baa71 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます!うれしいです☆ (2013年11月8日 21時) (レス) id: babb1f1075 (このIDを非表示/違反報告)
ソラウ - すごく好きな主人公さんです♪続きがすごく読みたくなります! (2013年11月8日 21時) (レス) id: cc1ae89777 (このIDを非表示/違反報告)
心音桜花(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります♪ (2013年10月20日 18時) (レス) id: 512126c44c (このIDを非表示/違反報告)
千花羅(プロフ) - 面白かったです♪続き楽しみです^ ^ (2013年10月20日 14時) (レス) id: 7bfc1ac2a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心音桜花 | 作成日時:2013年10月5日 21時