薄桜鬼 宵闇に溶ける

騒動 ページ14

Aside


どういう風の吹き回しか、俺は、皆と島原に
繰り出すことになった。


理由くらいは教えてくれても良いだろうに。

こういう強引さが土方さんたちの悪いところだ。


しかも今日は芹沢さんまでいる。


芹沢さんには俺が女であることは伝えていない。

何だか拾われて沖田さんの小姓に出世した
どこぞの若い田舎侍みたいな感じに説明されている。(らしい)

皆とは、芹沢さん、土方さん、沖田さん、伊吹さん、
永倉さんのこと。

永倉さんが芹沢さんに呼ばれ、永倉さんに沖田さんと伊吹さんが
呼ばれ、沖田さんに俺が呼ばれた。

ややこしい。

何とも重い組み合わせだと思うが我慢しよう。

島原につくと、店に入ってしばらくは
芸妓さんの躍りやら唄やらを見、酒を飲んでいた。

おそらくここではこれが普通なんだろう。

皆で笑ったり、飯を食ったりではじめは穏やかだった。

が、芹沢さんに酒が回り始めると、空気は
次第に悪くなった。

芹沢さんはガシャンと派手な音を立て膳をひっくり返した。


伊「芹沢さん！やめなって！！」

芹「ええぃ！うるさいわ！犬は黙っておれ！！」

芸妓 1「かんにんしとくりゃす、芹沢はん、
うちが悪かったんのどす、どうか、どうか・・・」

必死に謝る芸妓をよそに芹沢さんは怒りを爆発させた。


芹「この鴨に逆らうか！」
芸妓2「かんにんしとくりゃす、かんにんしとくりゃす・・・」

泣いて謝る芸妓を芹沢さんはおかしな理由で怒鳴る。

唄や躍りに良いところがないとか何とか・・・
芸を命とする芸妓に向かって何てことをいうのだろう。

俺も芹沢さんを止めるのでいっぱいいっぱいになっておたが、
頭にきて声をあらげた。

「この芸妓らに何も罪はないだろ！やめろ！！」

その瞬間、左頬に鈍いがとてつもない痛みが走り、

俺は、障子戸に叩きつけられたのだった。

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