5人の怪盗と生きる宝石 第3幕

mission87 ページ8

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天祥院｢全く…Knightsのメンバーに月永君がいると分かったらKnightsへ依頼なんて絶対にしなかったのに…｣



A｢え…｣



(どうして…皇帝はKnightsのメンバーを知ってるの…？それに月永君がいなかったらって…どういうこと…？)


私の疑問を察したように皇帝は答える。


天祥院｢あぁ、言っておくけど僕が怪盗Knightsのメンバーの中で把握しているのは月永レオ君、そしてここにいる朔間凛月君の2人だけだよ。…あ、正確には凛月君はKnightsのメンバーではなかったみたいだけど。｣


それなら皇帝は泉さんとなるちゃん、司くんがKnightsだと知らないということになる。


それにしても…


A｢朔間、凛月…？｣



(凛月君は孤児院出身の孤児だから名字がないと言っていたはず…けれど、今皇帝は確かに"朔間"と言った。それに…)


A｢メンバーじゃないって…どういうこと…？｣



凛月｢…はぁ、エッちゃんが余計なこと言うからこいつ驚いてるじゃん。｣


天祥院｢ああ、ごめんね？なんにも知らないこの子が少し可哀想に思えてきてしまってね。つい、言葉を漏らしてしまった。｣



凛月君の反応を見るに、皇帝の言葉は嘘では無い様子。


私が戸惑いながら凛月君を見つめると凛月君も溜息をつきながら再び口を開いた。



凛月｢…俺の本名は朔間凛月。本当はKnightsのメンバーじゃないし孤児でもない。嘘ついてたって訳。｣



"朔間"



その名前に少しだけ既視感を覚えるがそれはすぐに消え去った。




天祥院｢これでわかったろう？ここには君の味方なんて居ない。だから…間違っても、逃げようだなんて思わないでね？｣




皇帝は先程のように美しい笑みを浮かべた。



美しいはずなのに私の身体は震えが止まらない。



(あぁ、ようやく分かった。)



皇帝と会った時から感じていた違和感。



(この違和感の正体は…狂気だ。)



皇帝は笑顔のはずなのに瞳の奥は笑っていない。
その瞳は何も映していない…いや、違う。

何も移していないんじゃない。私以外を移していないんだ。



(凛月君と話している時も、蓮見さんと話している時も、その瞳は私だけしか写していなかった。)



天祥院｢凛月君もこの子の事を見張っておいてね？君だけでは信用に足りないから後で"もう1人"君達を見張る人物をつけておくから。…絶対に僕からは逃げられないよ。｣



そう言って笑った皇帝の笑顔が寒気がするほど冷たかったのはこの先一生忘れられないだろう。



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