mission69 ページ33
youside
ひんやりとした小型のナイフの切っ先が、徐々に私に焦りを与えてくる。
凛月「まず、1つ目。あんたは本当に10年以上前記憶が無いの?」
これに関しては前にも言ったはずだが。
A「…はい。本当です。」
凛月「じゃあ、2つ目。あんたの家族に関する情報は?」
…家族
確かに、私にもいるはずだ。存在しないはずがない。
10年前に記憶を失う前までは、普通なら私にも家族がいたはず。
私の家族は今でも私を探しているのだろうか。ずっと屋敷に閉じ込められていたことを知っていたのだろうか…
凛月「…ねえ、ちょっと。早く答えてよ。」
私が考え込んで何も答えずにいたせいで、凛月君は少し苛立ちを露わにしていた。
A「あ…ごめん。でも、私の記憶の中には家族と呼べる人はいないと思う。ごめん。」
私がそう答えると、何故か凛月君の瞳に影が浮かんだ。
_本当に一瞬だけだったが。
凛月「…へぇ。じゃあ次の質問ね。」
それから少しの間、私はナイフの切っ先を突きつけられながら凛月君の質問に答えるというよく分からない時間が続いていた。
恐らく、凛月君が最初に言っていた"容赦なく喉元を掻っ切る"つもりは本当は無いのだろう。
暫く質問に答え続けていると、凛月君はゆっくりと私の喉元からナイフを離して懐にしまいながら口を開いた。
凛月「じゃあ、最後の質問。…あんた、皇帝陛下とはどんな繋がりを持ってるの?」
A「皇帝陛下…」
セレナイト王国249代目皇帝天祥院英智
彼は美しく賢く聡明だが、滅多に表舞台には顔を出さないという。
その理由は、彼が生まれながらの虚弱体質である事が関係していると前に司君が言っていたのを思い出した。
そんな皇帝と私が関わり等持つはずがないのだが。
以前、凛月君が言っていた"怪盗Knightsに生きる宝石を盗ませるように依頼したのは皇帝陛下だ。"という話を思い出す。
(少なくとも、皇帝陛下は何故か私のことを知っている…凛月君はそれに対して問いただしたいのか…)
だが、なんと言われても知らないものは知らない。
A「…私は、皇帝陛下との関わりが無いどころか、皇帝陛下の顔も見た事がない。それだけは誓える。」
凛月「…そう」
そう言うと、凛月君はゆっくりと部屋の出口に向かいながらこう言った。
凛月「これ以上、Knightsメンバーに近づかないでくれる?面倒臭いから。あと俺、あんたの事嫌いだから近づかないで。近づいたら殺すから。」
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作者名:リューゲ | 作成日時:2022年8月1日 20時