【歌い手】ヒ ト メ ボ レ。 【浦島坂田船】

#1 ページ2

・

「あかんわほんまに…」

「よりによってな…」


もう暗くなった空を見上げながら、まだ人混みの多い東京で立ち尽くす4人。
途方に暮れている、という言葉がこんなに似合うことがあるだろうか。

そう思いつつ、この状況の犯人となる坂田を睨むがもう寝そうになっている。


本当にこいつは。

「「ホテル予約忘れるってどうゆうことやねん…」」


・


さかのぼること数十分。

ライブの帰り、楽しかったなぁと和気藹々としているところで、ホテル予約担当の坂田があっと声を上げた。

段々と青ざめていく顔。

それに気づいてすかさずリーダーが声をかける。


「どしたんだよ、坂田」

「ややややばいわ…あかんことしたわ…」

「何ぃー？」

「………ホテル予約すんの忘れた」


「「「…はぁああああああ！！！？？？」」」


やはり坂田にホテル予約を担当させることが間違ってた。

「大丈夫！めっちゃ良いとこあるから！楽しみにしててなほんまに！」
なんてことを言っておいて、見事にフラグ回収やんけ。


うらたんは今一応いろんな場所に電話をかけてくれるけど、顔的に無理そう。


「えぇ…なんかもうどっか無いんセンラ」

綺麗な顔をしかめて面倒くさそうに言う志麻くん。

…仕方ない。

「しゃーないからもう電話するわ…」

「お、あてあるん？」



「………姉さんの家」

・

#2→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す