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よ、と手を上げると初めてみる表情。そんなに目丸くなるんや?きっと他にも俺が知らん表情沢山あるんやろな。
「風邪、大丈夫?」
「おん、もう平気。手紙ありがとうな。」
センラに伝言を頼めば、手紙が2枚。1枚は俺のルーズリーフの手紙に対する返事。もう1枚は風邪への心配の手紙。
「ううん、こちらこそありがとう。」
「本、変わった?」
手にあるのは、いつもと違うブックカバーを被った本。いつもやったら同じブックカバーやのに。珍しい。
「うん、センラくんが貸してくれたの。」
「…センラが?」
今日も大学で会ったのに、そんなこと全然言ってへんかってんけど。…いやまあ、別に俺とAは友達なだけやしセンラも言う必要なんてないんやから当たり前なんやけど。
「うん、ちまちま来てくれるよ。」
「そー、なんや。」
Aに知り合いが増えるんは嬉しいし、センラは安心できるけど、軽い嫉妬も覚えてしまう。センラにそんなつもりはないんやろうけど。
「面白い本をね、色々教えてくれるの。」
「そーなんや。おもろいのあったら、俺にも教えてな。」
Aに会ってから、本読み始めた、なんて言ったら信じてくれる?今もカバンに1冊入ってる。全然進んでないけど。
「いいけど、志麻くん読まないでしょ?」
「時間かかるだけ。」
Aと少しでも同じものを共有したい、なんてそれは出会って1ヶ月の俺には厚かましすぎるかもしれんけど。
「いいよ、」
「ありがと。」
少し寂しそうな顔をしてたのに、俺は気付けない。
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蒼(プロフ) - 雨さん» 読んでくださりコメントもありがとうございます。ぜひ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです◎ (2021年3月6日 12時) (レス) id: a03714d678 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - とても今更ですが完結おめでとうございます。一気に読ませていただきました。とても内容が好みです!他の作品も読ませていただきます! (2021年3月6日 8時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
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