1 ページ1
.
「今日は体調どうなん?」
「また、来たの?今日はイイ感じだよ。」
片手を上げて声をかければ、俺のマネして片手を上げた。
とある病院のベンチ。カーディガン羽織って持っとった本にしおりを挟む。隣に座れば、病院独特の匂いが鼻をかすめる。
「良かったやん。」
「それにしても、志麻くん暇なの?結構来てくれるけど。」
学校とバイトの時間縫って会いに来てる、なんて言うたら引かれるんじゃないか、なんて考えてしまって暇ちゃうわ、なんてでこぴんをお見舞いする。
「いたーい。」
「か弱い女の子みたいな反応するなや。」
「か弱いですー。」
「か弱い奴は木登りなんかしやんわ。」
わざとらしくおでこを押さえて見てくるけど、第一印象が木登りしてるやつな時点でアウト。
友達の見舞いで来た病院、時間つぶしに庭に行ったら木登りしてるAと会ったんは2週間くらい前。
「だから、あれは、小さい子が木の上におもちゃ乗せちゃったから…。」
「やからってAが上らんでもええやろ。危ないし、下りれんくなっとったやん。」
助けてください、そんな言葉が木の上から聞こえてきた時はマジでビビった。木の上に、ましてや病院の敷地内、そんなとこに人がおるなんて思わんやん。
「…その節はお世話になりました。」
「はーい。」
手を貸して、ゆっくりAを木から下ろしたのは多分一生忘れへん。
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼(プロフ) - 雨さん» 読んでくださりコメントもありがとうございます。ぜひ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです◎ (2021年3月6日 12時) (レス) id: a03714d678 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - とても今更ですが完結おめでとうございます。一気に読ませていただきました。とても内容が好みです!他の作品も読ませていただきます! (2021年3月6日 8時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ