３８馬鹿 ○ナンパ野郎に制裁を１ ページ38
どうしよう。今すっごく困ったことになった。
あ、俺は尾浜勘右衛門。今は尾浜勘凪って名前だけど……。
いや、今は自己紹介をしているバヤイではない。
「ね〜お姉さん可愛いよね!良かったら俺たちとお茶でもしない?」
「何度も申し上げたように、友達を待ってますので……あなた方とお茶をする暇はありません」
そう先程からこの男たちにしつこくナンパされているのだ。
学生の時Aさんに護身術講習で習ったようにさっきからずっと断っているのに本当にしつこい奴らだ。
こうなったら最終手段を使うかと、手を出しかけた時、ナンパ野郎とは違う気配を感じた俺はその気配を感じる方へ視線を向けた。
「ごっめ〜ん!仕度に手間取っちゃって送れちゃった〜」
「!Aさ」
「シッ…いいから私に任せろ」
Aさんが小さな声でそういうので俺はAさんに任せることにしよう。
私はAさんを笑顔で話しかける。
「A、遅いよ」
「ごめんって!さぁ行こうか」
「ねぇ俺たちをあんまりシカトしないでくれる?お姉さんも一緒にお茶でも」
「お断りします、では失礼」
そう言いさっさと退散しようとしたがナンパ野郎は本当に本当にしつこくまだ言い寄ってくる。
ナンパ野郎のしつこさに若干Aさんもイラついているように見える。
それでも断り続けているといきなりナンパ野郎が逆ギレをしAさんの胸ぐらを掴み上げた。
「このクソアマ……こっちが下手に出てりゃあいい気になりやがって!そんな顔がいいわけじゃねぇくせによ!」
「!Aさんになんて口を……!」
「勘凪、いい……そんなに言うんでしたら別の方をナンパしてくださいな、あぁ性格が悪いから私みたいな人にしかナンパできないんですね。可哀想な人」
ハッと鼻で笑うAさんに怒りが頂点に達したナンパ野郎がAさんに向かって拳を振り下ろした。
すぐに止めようとしたがその前にAさんがその振り下ろした手を素早く捻り上げる。
イテテと捻り上げられた男が情けない声をあげる。
「イテテ!離せよクソアマッ!おいお前らも見てねぇで助けろ!!」
「……助けるのは別に構わないが、先に手ェ出したのはコイツだ。私は問答無用で返り討ちにしてやるからな」
男を捻り上げながら静かな声でそういうAさん。
昔感じた殺気のようなAさんのオーラに俺も背筋が寒くなる。
助けるよう指示を出された男の子分の奴らはAさんの気にあてられたのか動こうとしない。
３９馬鹿 ○ナンパ野郎に制裁を２→←３７馬鹿 ◎酷い女装 終
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2016年9月25日 23時
