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49バク ページ49

そんなアオにカラ松は弾んだ息で言葉をかける。


「アオっ! 大丈夫かっ!?」

「カラ松、待っていろと言ったであろう」

「ごめん……けど、侵入者って聞いて心配で」

「分かっておる。我も少々時間をかけ過ぎてしまったからな。心配かけさせてすまぬ」


アオがそう謝罪すると、カラ松は特に怒る様子もなくニコニコと笑みを浮かべる。
穏やかな空気の流れる二人の間に、おそ松たちの縋るような声が割り込んだ。


そんな声に苛立ちを隠すことなく、カラ松はアオに問いかけた。


「アオ、コイツ等が侵入者か?」

「えっ……カ、ラ松?」

「あぁ、だがもうご退場されるから心配せんでよい」

「そうか! さすがアオだな」

「な、なぁカラ松……無視、するなよぉ」


おそ松たちに一瞥するだけですぐに顔をそむけるカラ松に、おそ松たちはさらに縋るがそんな彼らにカラ松はキッと睨みつける。


「煩いっ! 邪魔をするなッ!」

「っ!?」

「何故だかは分からんが、お前達を見てるとイライラが止まらないんだっ。さっさとここから出て行けっ! 二度とその面を見せるなっ!!」


アオはフーフーッと息を荒くさせるカラ松を宥める。
そして、彼にいつもの湖のほとりで待つように伝えるとカラ松は少々渋ってはみたものの最終的にはそれに従い、カラ松はその場から姿を消した。


「お、前……カラ松に何をしたっ!?」

「……我はカラ松との契約に従っただけだ」

「契約?」


そう聞くトド松に、アオは至極丁寧にカラ松と交わした契約の事を話して聞かせた。
そして、契約の代償の話に入る。


「我ら獏は、契約した相手から"その者が一番大切にしている何か"を貰い受ける事になっている……我が貰い受けたカラ松の一番大切なものは、貴様らに対する全ての記憶や思い出、そして貴様達への尊敬、羨望、信頼、情愛などの心だ」


アオはゆっくりと腕をあげ、言葉の区切り区切りにおそ松たちを順に指をさした。


「今やカラ松の中に残っているのは、貴様らに対する不信感や嫌悪感などの負の感情だけだ……もう貴様らが愛していたカラ松は、どこにも存在せぬのだよ」


アオのその言葉により、四人の顔には深い絶望の色がにじみ出る。
そんな彼らに、興味を失わせたアオは冷たい声色で口を開いた。


「我に、そしてカラ松に完全に拒絶された貴様らがここに来れる事はもうないだろう。さらばだ、愚かな人間どもよ」

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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