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48バク ページ48

そんな彼らに気遣うものなどこの場におらず、カラ松はさらに言葉を続ける。


「おそ松、長男だと言うのならなんであの時率先して助けに来てくれなかったんだ」

「あ、あぁ……」

「そうだよな、お前は長男だなんだと言うくせに、面倒なことは自分に都合の悪い事を全部俺に押しつけるような奴だもんな。そんなお前なんか……大っ嫌いだっ!」

「あ、あ、あぁ……あぁぁああぁっ!」


カラ松のはっきりとした拒絶の言葉に、おそ松は涙を流しながら地面に膝をつく。
そんな彼にチョロ松たちが兄の名を口にするが、カラ松の言葉が止まることはなかった。


「チョロ松、お前、自分で常識人とか言ってるが、普通常識人は、誘拐された人間より梨を取らないんだぞ。そんなお前に常識人なんて、俺の片割れなんていう資格があるわけないだろう?」

「一松、お前、何かにつけて俺の大事にしてたサングラスとか壊したり、何もしてないのに暴言や酷い時には暴力まで振るってくれたな。そんなお前なんか、誰が信じるっていうんだ? 少なくとも俺はもうお前を信じていないし、これから信じてやるつもりもない。安心するんだな」

「トド松、お前は俺のファッションや趣味をイタイイタイというが、ニートの癖に慶応かなんかの大学生だと他人に平気で嘘ついたり、人を平気で貶めるようなお前の方がよっぽどイタイぜ。そんなお前なんかの相棒だなんて言わないでくれ、恥ずかしいから」


侮蔑を込めた目でそう睨みながら言うカラ松に、三人は信じられないものでも見るような目からボロボロと涙を流し頭を抱え地面に崩れ落ちる。
そんな彼らに、アオは口を開いた。


「これが、貴様らが見ていた夢の"真実"だ……まぁ自分たちの元兄弟にこうまで言われたら、真実を捻じ曲げたくなる気持ちも、分からんでもないがな」


そうおそ松たちは、自分の夢で見たカラ松の言葉を信じたくなく自分の事を認め、信じ、そして愛してくれる、そんな自分たちが思い描く理想のカラ松を捏造していたのだ。
今日まで見ないように、聞かないようにしていたカラ松に無様に泣き喚くおそ松たちをなんの感情も感じられない目で見下ろすアオの耳に、聞き慣れた声が飛び込んでくる。


その声の正体はカラ松で、アオはその声のする方へと顔を向けた。


まだステッキを上手く使いこなせてないのか走ってここまで来たカラ松に、アオは少々呆れながらも小さく笑みを浮かべる。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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