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「……魚が水の中でしか幸せになれないように、人間もまた現実世界でしか幸せになれない。それが自然の摂理のはずだ。我は、カラ松が一番幸せになれる事を望んでいる」

「! そっか。僕、僕たち頑張りマッスルマッスルっ!」

「十四松の言う通りだ! うちの次男坊、お前になんて渡さねぇよっ」

「……そうか、では賭けは成立だ。……最後に言っておく。どんなに些細なことでもカラ松が"裏切られた"と思った瞬間、コレは自動的にカラ松の中に帰る。ゆめゆめ忘れるでないぞ」


アオのその言葉を最後に、五人の意識は遠のいていき次に目を開けた時にはいつもの部屋の天井が視界にうつった。


それから、おそ松たちはカラ松に対する言動を改めた。


おそ松は、暇さえあればカラ松と他愛もない話をしたり。

チョロ松は、一緒にアイドルのライブに行こうと誘ったり。

一松は、出来るだけカラ松に優しくしようと努力したり。

十四松は、何かあるごとに感謝や好意の言葉を伝えたり。

トド松は、一緒に買い物に行こうと誘い、カラ松に美味しいスイーツをご馳走したり。


五人はそれぞれ考え、カラ松に優しく接し精一杯甘やかした。
そんな兄弟に、カラ松は最初は首を傾げていたが与えられる愛情が嬉しくて深く考える事を放棄するのだった。


しかし、一週間、二週間、そして数か月が過ぎる頃になると、カラ松に対する兄弟たちの対応が雑になっていく。
十四松だけは変わらずカラ松に優しく接していたが、他の兄弟たちは体に滲みついた対応がふいに出てしまうようになっていった。


日が過ぎるたび、十四松をのぞく兄弟の頭からアオとの賭けの事などは消えていき、いつの間にかカラ松の対応は元に戻ってしまっていた。


優しいカラ松ならこれくらい許してくれる。


おそ松たちはそう思い、前のように兄弟に激甘なカラ松を虐げる。
無論、本人たちは虐げているつもりはない。
しかしカラ松の発言を途中で遮ったり無視したり、カラ松の私物を勝手に壊したりするのは当たり前だと思うようになっていくのだった。


また何も変わらない六つ子としての生活が始まると心の底から思っていた。
……あの日が来るまでは。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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