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28バク ページ28

「あ、あのねカラ松にーさん……」

「すまないブラザー。俺今すごく眠たいんだ、話ならまたにしてくれないか?」


十四松はあの事を謝ろうと声をかけるが、それをカラ松の声によって遮られた。
それならと、十四松は布団を敷くのを手伝うと申し出るがそれも気にしなくていいと言われてしまう。


大好きな兄からの遠回しの拒絶に、折角止めた涙がまた零れだす。
そんな十四松に、カラ松は心配そうな顔を浮かべ声をかけようとするが、それを別の声が遮った。
その声の正体は十四松の一つ上の兄、一松だった。


一松は怒りで肩を震わせながらツカツカとカラ松に近づくと、ガッとカラ松の胸ぐらをつかんだ。
そして、鋭い眼光でカラ松を睨みつけながら一松は怒鳴る。


「おいクソ松! てめぇ十四松が話があるって言ってんだろうが、話くらい聞いてやれよっ!」

「や、やめて一松にーさん!」


よほど怒っているのか、一松に十四松の制止の声は届いておらずさらにヒステリックに喚き出す。
そんな一松を、カラ松は煩わしい物でも見るような目で見ていたが、それに気づく者は誰一人としていなかった。


「大体てめぇは何様なんだよ! 当てつけのように毎日毎日客間で寝やがって!」

「……俺が客間で寝るのは、まだ怪我が治ってないからだ。こんな怪我で寝相の悪いお前達と共に寝たら、治るものも治らんだろう」

「うるせぇ! どうせその怪我も大袈裟に見せてるだけで、実際は大したことねぇんだろうが! ほんとクソだな! てめぇのせいで周りの空気悪くしてんの気付いてねぇのかよ? マジで死ねよ、クソ松が!」

「やめてよ! 一松にーさんっ!」


十四松の必死の声がようやく一松の耳に届いたのか、一松はチィッと舌打ちをしてからカラ松の胸ぐらから手を離し客間を後にする。


「だ、大丈夫? カラ松にーさん」

「……あぁ、大丈夫だ。すまなかったな」


そう言いながらカラ松は十四松の頭を撫でる。
いつもの優しい手付きだが、今の十四松にはちっとも嬉しくなかった。


どうして、カラ松にーさんが謝るの?
謝るのは一松にーさんや僕たちだよ。


そう言いたいのに、自分の口からは嗚咽が零れるだけでまともな言葉になりもせず、そんな自分に苛立ちが募る。
そんな十四松の心情を読み取れないカラ松は、ただ機械のように十四松の頭を撫で続けるしか出来なかった。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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