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23バク ページ23

「お前の悪夢を喰らう事をだよ……前まではお前の悪夢を改変し良い夢にかえていたから喰らわなくてもよかったのだが、今回は喰わねばならぬのでな」


そう言いながらアオは手元にあるシャボン玉にサッと手をかざすと、丸いシャボン玉は平皿に盛られた黒い星の形に変わった。
アオは用意していたナイフとフォークを使って、その星を口に放り込む。


モグモグと咀嚼し飲み込むアオの眉間にわずかながらにしわが寄っているのに気付いたカラ松はアオに声をかける。


「……美味くないのか?」


カラ松のこの問いに、二口目を口にしていたアオが口の中の元悪夢を飲みこみ答えた。


「……美味いか美味くないかと問われれば、正直、あまり美味い物ではない。元より我は悪夢より吉夢のほうが好みなのだよ」

「そういえば、アイツラもそんな事言ってたな」

「あぁ。元々獏は悪夢を喰らう存在ゆえに、ほとんどの獏の好物は悪夢だ……我をのぞいてな」


カチャリと食器をテーブルの上に置き、アオは語りだす。
アオの口から紡がれる静かな言の葉を聞きもらす事のないよう、カラ松は耳を傾けた。


「我がこの夢世界に存在して、初めて喰らった悪夢の味は今でも思い出せるほど不味いものだった。試しに喰ってみた吉夢は逆に飛び上がるほどに美味かった。それからだろうな、他の獏から馬鹿にされるようになったのは」

「……」

「我ら獏が人間と契約するのは、効率よく悪夢を摂取するためだ。そして契約者の数が多ければ多いほど獏の力は強くなる。その為のノルマがあるのだが、我はこんなな為、まともにクリアできたためしがない……まぁクリアできないからといってなにか罰があるわけではないから特に気にしていないがな」


ほんのりと温かみをおびたカップを手に取り口元に寄せると、それを傾ける。
アオ好みの温度になった紅茶を喉の奥へと追いやると、カップから口を離し言葉を続けた。


「すまん、くだらない話をしてしまったな」

「そんな事ないっ! ……じゃあ、アオはずっと一人、なのか?」

「……そうだな。たまに今宵みたいな奴らが様子を見に来るが、普段は一人だ」

「寂しく、ないのか?」

「……わからん。少なくともお前が生まれるずっとずっと前からここで一人なのでな、そんな感情があったのか、はたまた端からそんな感情など存在しないのか。もう分からなくなってしまったよ」


そっと目を伏せながらアオは言葉を吐くのだった。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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