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3バク ページ3

それから獏は、あらかた巡回を終わらせ後は陰の夢区域の奥を残すまでになった。
この区域の奥には、余程の悪夢でないとシャボン玉は出現しない為本来ならばそんなに頻繁に巡回する必要はない。

しかし獏は、”仕事は真面目に”がモットーである。
そして、そのモットーに反することはしたくないと思った獏は、己の仕事を続行するのだった。


しかし、この区域の奥は入口付近よりもほの暗く、獏的に出来ればこの場所には長居したくない


さっさと見て、さっさと帰ろう。


そう心に決め、獏は奥へと足を進める。
しばらく平坦な道を歩き、獏はようやく奥へとたどり着いた。


そして、獏は驚愕した。


「な、んだ……この夢は」


そう呟く獏の眼前には光を通さないどす黒い色をしたシャボン玉があった。
黒色は人が見る悪夢の中でも最上級に位置する色である。
しかし、こんな色の悪夢は獏が産まれてから一度も見たことがない。


これほどまでに酷い悪夢、一体どんな人間が見ているのか。


そう興味の湧いた獏は、そのシャボン玉を引き寄せようと手を招く。
だが、そのシャボン玉は己の手元に来る前にパチンッとはじけて消えてしまった。


この世界でシャボン玉が割れるという事は、その夢の主が眠りから覚めたことを意味する。
それを理解している獏は、先程まであったシャボン玉の主が悪夢から解放された事に安堵した。


「それにしても、あれほどまでの悪夢を見るとは……まぁ、恐らくもう見る事はないだろう」


そう納得した獏は踵を返した。
薄暗い区域から出て、獏は定位置となっている湖のほとりに持っていたステッキを軽く振る事で椅子を出現させ腰をかけた。


背もたれに身をゆだね、吹く風により穏やかに揺れる水面をボンヤリと眺める。
そんな獏の頭には先ほどのシャボン玉の事で一杯だった。


しかし、いくらここで考えたってあの悪夢とはおそらくもう会う事はないのだ。
それならば、考えるだけ無駄というもの。


これ以上考えるのはやめようと、獏は頭を数回横に振る。
そして、頭にかぶっている帽子を下げる事で顔を覆うのだった。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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