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18バク ページ18

次に目を開けると、海の景色から獏と初めて出会ったあの景色が広がっていた。
穏やかな空気が漂うこの場所に、カラ松の張っていた気がゆるでいく。


そんなカラ松の目線の先には椅子に腰かけている獏の姿があり、その存在に声をかけようとカラ松は口を開きかけたが、それよりも早く獏が声をかけた。


「来たか、カラ松」


椅子から腰をあげカラ松に近づきながらそう言う獏に、彼はどうもと頭を下げる。
そんな彼を見ながら、獏はポンッと一枚の紙をヒラリと掲げた。


「契約書、確かに受け取ったぞ……これで我とお前は契約で結ばれたわけだが、早速どうする?」

「ど、どうするって……?」

「決まっておろう。悪夢を喰ろうてもらうか、悪夢の代わりに見せる夢の内容のことだ」

「夢の内容をかえられるのか!?」


何でもないように言う獏に、カラ松は驚愕の表情を浮かべる。
普通、夢は自分で変えることは出来ない。
稀に明晰夢を見る事が出来る人がいるらしいが、カラ松は生まれてこの方明晰夢を見たことはない。

そんなカラ松の目に、獏のニッと軽く歯を見せた笑みが反射する。
獏が腕にかけていたステッキを手に持ちカンッと地面を鳴らすと、獏の空いた片手に煙管が現れた。


洋の服に和の煙管。
真逆のアイテムに普通ならアンバランスに思う組み合わせだが、カラ松の目にはそのアンバランスさも獏がしていると思うとかっこよく見え、目を奪われていた。


そんな彼の心情など知らぬ獏は言葉を続ける。


「我に見せられぬ夢などありはしない」


そう言いニヤリと笑みを浮かべる獏が「それで、どうするんだ?」とカラ松に問うた。


「……それなら、最高にクールなドリームをプリーズっ!」


少し迷うそぶりを見せた後ウインクをしながらキメ顔でそう言うカラ松に、獏は「承知した」と一言言葉を返し手に持っていた煙管を口元に寄せる。


「それならば、己の見たいと思う夢を強く思い浮かべよ」

「あ、ちょっとウェイトウェイト!」

「なんだ?」


さぁくわえようとした煙管を口元から離し獏は首を傾げた。
そんな獏に、カラ松は真剣な顔で口を開く。


「レディの名前を教えて、くれないか?」

「名前? 我は獏だと言ったであろう」


何を言っているんだとでも言いたげに片眉をあげる獏に、カラ松はおずおずと口を開いた。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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