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15バク ページ15

「……お前の意思の固さは重々承知した。いいだろう、その契約書にサインするがいい」


そういい獏は取り上げていたペンを浮かせ、カラ松に返却した。
空に浮くペンを再び手にしたカラ松はさぁ書こうと契約書にペンを乗せようとした瞬間、己の身体が後ろに引っ張られるような感覚を感じ首を傾げる。


そんな様子のカラ松に、獏はあぁと声をあげた。


「そろそろ目覚めの時間か」

「め、目覚め?」

「そうだ。お前の本体が目覚めようとしているから、精神のお前が本体に引っ張られているのだよ。まぁ、焦る必要はない。それは現実世界でも存在できる故、よくよく考えてからサインしても遅くはないだろう」

「よく、考えて……」

既に冷め切った紅茶を啜りながら獏が紡いだ言葉を、カラ松はその一部をオウム返しをした。
飲み終え空になったカップを揃いのソーサーに戻しながら言葉を続ける。


「あぁそうだ。次にここへ来たい場合は、この場所を、我を強く思い浮かべよ。さすればこの園へと迎えてやろう」

「ま、また来ていいのか?」

「あぁ。お前は我の契約相手かもしれぬからな」


獏がそう言いながら帽子を軽く持ち上げると、カラ松は体を引っ張られる感じがさらに強くなるのをその身に感じた。
そして、獏の最後の言葉を聞き終える前にカラ松は意識を手放した。


「……よい、現実を」


獏の口から放たれた言葉は、誰もいなくなり空っぽとなった向かいの席を通り過ぎ空気に溶け込んでいくのだった。

******

カラ松はパチリと目を開ける。
ここ最近必ず起きていた倦怠感や大量の寝汗もなくスッキリと目覚める事が出来たカラ松は、ゆっくりと上半身を起こした。


「……夢、だったんだよ、な?」


そう呟きながらカラ松は怪我のない方の手で頭を掻こうと動かすと、カサッという乾いた音が彼の耳に届く。
目線を音がした方に向けると、その手には握られてぐしゃぐしゃになった見覚えのある一枚の紙があった。


「これは、夢で渡された……」


手の中にある紙を広げて見ると、そこには確かに夢で見た文字が羅列されていた。
その紙は確かに夢で獏から渡された契約書だった。


「これが俺の手にあるってことは、あの夢は現実だった? いや、でも……」


カラ松は頭の中で色々と考えるが、結局彼の持っている知識では今自分の身に起きた現象を解明することが出来ず、まぁいっかと考える事をやめた。

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長月シキカ(プロフ) - 永久さん» はじめまして、作者の長月シキカです。コメントありがとうございます! 物語の最後の終わり方は中々に難産でしたので、永久様にそう言っていただけて本当に嬉しいです^ - ^ こちらこそ、最後まで閲覧してくださってありがとうございました♪ (7月28日 23時) (レス) id: f960b2a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - はじめまして! 永久です!今回この作品を読まして頂きました。とてもストーリーが出来ていて夢主さんのキャラもすっごく良かったです!最後の終わり方もとても心打たれるものでした!最高の作品を作ってくれてありがとうございます! (7月28日 21時) (レス) @page49 id: 41fe1dd09b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長月シキカ | 作成日時:2018年6月25日 23時

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