４０話 初外出 ページ40
「でけぇ屋敷……てか忍びって読んで字のごと忍ぶ生き物ですよね」
「まぁそうだね」
「それなのに、こんなでかでかと"忍術学園"って看板出してていいんですか?」
「……そこにツッコんだら負けだと思うよ」
「ですよねぇ」
組頭に抱えられタソガレドキ城を抜けだした私は、目の前にそびえ立つ門に驚き、その門にかけられている看板を見て疑問に思っていた。
そんな私にいちいち反応してくれるのは組頭に心の中で小さく感謝する。
しばらく門の前で立ち止っていたが屋敷の中へと入っていく組頭たちの後ろを着いて歩いた。
門の傍で招待状を回収しているのか、青年と少年が受付の様に並んで座っている。
その二人のもとに近づくと、少年が恐怖と驚きに満ちた表情を浮かべながら大きな叫び声をあげた。
ギャーという叫び声にもまったく動じない組頭たちに少し驚きながら、私は痛む耳を押さえる。
少年の叫び声に気付いたのか、叫んだ子と同じくらいの背丈の子供達と、その子供たちよりも背が高い少年がものすごい勢いで走ってきた。
そして、叫んだ少年と同じように組頭たちを見て驚きに満ちた叫びをあげる。
組頭たち、この子供達に何やったんですか、と思ったがそう言えばタソガレドキのお殿様は評判が悪いって言ってたっけ。
そんな殿に仕えている組頭たちも、彼らには恐怖の対象なのだろう。
驚愕して腰を抜かした子供たちが私達を指さしながらなにやらごちゃごちゃと言い、その中で利発そうな少年が、自分が思う事を背の高い少年に向かって提言している。
組頭はその子に向かっていき、ぬーんと子供たちを見下ろす。
彼に見下ろされている子供たちは、さぞ怖いだろうなぁ。
「半分正解」
子供達に顔を近づけながら組頭がそう言うと、あまりの恐怖からか子供たちの鼻からスゥッと魂のようなものが抜け出ていきふよふよと空を漂い始めた。
私は今、自分の目の前に起こった信じられない出来事に驚きを隠せずにいたが、近くにいた尊奈門先輩は慣れた手つきで、しかし呆れた表情を浮かべながらどこからか取り出した虫取り網でふよふよと逃げていく魂を追いかけていく。
って魂って虫取り網で取れるもんなの!?
じゃあ私もあの時虫取り網あったら、奇跡的に助かったんじゃね!?
そう思ったが、すぐにそんなことはありえないと我に返る。
あの状況で動ける状態ではなかったし、助けてくれる人なんていやしなかったしな。
自分の最期を思い出しながら、私は子供達に目を向けた。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
