１３話 言いたい、けど言えない ページ13
「あぁはい、聞いてますよ。お殿様にお会いすればよろしいんですよね」
「聞いてるならいいよ。あと私にそんな堅苦しい話し方しなくていい」
包帯野郎にそう言われて、営業用の話し方を普通に変える。
話し方を変えたあと、包帯野郎は「じゃあついてきて」と私をお殿様のもとへと連れて行かれた。
城の廊下を奥へ奥へと進んでいき、時代劇とかで見るような部屋へと連れて行かれ私は初めてお殿様と対面した。
その感想を口に出したいが、必死で喉の奥に飲みこむ。
言いたい、けど社会人として、いや大人として絶対に言ってはいけない。
だが、とてつもなく言いたい。
「どうした娘」
「い、いえ。何でもございません、お殿様」
アンタの顔が変だというのを口に出したくて仕方がないなんて絶対に言えねぇ!
「ときに娘。お主の名は?」
「……秋津、Aと申します。以後お見知りおきを」
「うむ、さてAよ。お主は何故森の中にいた。包み隠さず申すがよい」
変な顔のお殿様は自分の手にある扇子を弄びながら、私にそう聞いてくる。
別に閻魔様から目的の事をこの世界の人に言ってはいけないなんて言われてないし、ここで協力者を得るのも悪くないか。
まぁ、信じてもらえるわきゃねぇだろうけど……。
「……私が何故あの森の中にいたのか、それを説明するには少々長く、そして信じられないようなことを申しますが、それでもよろしければお話いたします」
「ほぅ……よい。話してみよ」
「ありがとうございます」
私は床に頭がつくぐらい深く頭を下げ、感謝の意を表す。
そして顔を上げ姿勢を正し、私は事の全てを一から話す為口を開いた。
「まず、最初に……私は一度ﾀﾋにました」
目の前のお殿様と傍に控えていた包帯野郎も、その目を丸くして驚いた様子を見せる。
そりゃあそうだろう、私だって知らん人からそう言われたら「何だコイツ」って絶対に思う。
「ﾀﾋんだ? 世迷言を申すでない」
「いえ、残念ですが世迷言ではないのです。私は確かにﾀﾋにました。いや殺されたというのが正解ですね」
「殺された……一体誰に」
「はい。射杜山杞玻という女子にです。その女子に殺された私は地獄へと向かいました。そこで十王の数人から審議を受け、閻魔大王様にお会いしました」
「……ほぅ」
いまだに「何言ってんだコイツ」って目はしているが、約束通り最後まで聞いてくれるらしく律儀に相槌を打ってくれている。
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長月シキカ(プロフ) - 桜餅の塩漬け葉っぱさん» コメントありがとうございます！主人公や閻魔様のキャラどうするか結構迷ったので笑っていただけて本当に嬉しいです^ ^ 閲覧感謝です！ (2018年2月7日 22時) (
レス) id: 547ce2e1e2 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅の塩漬け葉っぱ(プロフ) - とっても面白いです。閻魔様と主人公のキャラが……www (2018年2月7日 22時) (レス) id: a55b533e90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長月シキカ | 作成日時：2017年7月21日 0時
